DATABASE

各クラブのスタジアム状況一覧

そのスタジアムの持ち主は、自治体(税金)か、それとも民間か——。 この一点で見ると、税リーグ問題の構造がくっきり浮かび上がります。 Jクラブのホームスタジアムを、所有形態を軸に出典付きで整理しました。

KEY FACTS

所有形態でわかる構造

「維持費・改修費は税金、収益はクラブ」——大多数のクラブが自治体所有の施設を借りている実態です。

18/20
J3クラブの
自治体所有スタジアム数[1]
1クラブ
J3で唯一の
純・民間所有(栃木シティ)[1]
数十〜
数百億円
新スタジアム1つの建設費
(多くを自治体が負担)
自治体所有 = 税金で建設・維持 民設民営 = 民間が建設・運営 混合型 = 民間募金→寄贈・PFI等
MYTH BUSTING

「民設」と誤解されがちな公費スタジアム

“街なかの成功例”として語られる新スタジアムも、実は自治体が建てた公費スタジアムです。この誤解を正すことが、正確な議論の第一歩です。

スタジアムクラブ実態建設費
エディオンピースウイング広島サンフレッチェ広島 公設 広島市が事業主体(=公費建設)。運営はサンフレッチェが指定管理 総工費 約256億9,600万円
※一部報道は総事業費270〜285億円・公費約180億円とするが内訳に差異あり
サンガスタジアム by KYOCERA京都サンガF.C. 公設 京都府立(=全額公費建設)。運営は指定管理 総事業費 約154億円
(一部資料147億円)
「新しくてお洒落なサッカー専用スタジアム=民間がつくった」というイメージは誤りです。広島も京都も、街の中心につくられた立派な専用スタジアムですが、その建設費は税金でまかなわれました[2]
THE REAL ONES

本当の「民設民営」——公費に頼らなかったクラブ

数は少ないものの、税金に頼らずスタジアムを持つクラブは実在します。「頼らない道」の存在は、批判を支える重要な証拠です。

スタジアムクラブ所有・資金備考
長崎スタジアムシティ
(ピーススタジアム)
V・ファーレン長崎 完全民設 ジャパネットHDが約1,000億円を全額拠出 行政の財政支援を一切受けない純民間事業。2024年10月開業/約2万席
ヤマハスタジアム(磐田)ジュビロ磐田 民間所有 親会社ヤマハ発動機が所有・運営 指定管理者制度を使わず同社が直接管理。1978年開場
三協フロンテア柏スタジアム柏レイソル クラブ所有 クラブ運営会社が直接所有・管理 Jリーグでは希少な、クラブ自己所有の代表例
アシックス里山スタジアムFC今治 民設民営 今治.夢ビレッジが所有・運営 親会社を持たないクラブが民設で建設した日本初の例とされる。2023年開場(将来15,000席まで増築可)
CITY FOOTBALL STATION栃木シティ 民間所有 日本理化工業所が所有 J3で唯一の純・民間所有。2025年にJ2昇格
パナソニックスタジアム吹田ガンバ大阪 混合型 募金で建設→吹田市へ寄贈(所有は市) 法人721社・個人3.4万人の寄付+toto/国助成で約140億円。運営はガンバが指定管理(=完全民設ではない)
「吹田モデル」は民間募金で建てた点で優等生ですが、国の助成金(公費)を含み、竣工後は吹田市の所有(公有財産)です。完全民設の長崎とは性格が異なります。詳しくは税リーグ問題とは(対照例)で解説しています。
HOTSPOTS

特に論点になっているクラブ

新スタジアムの公費負担をめぐり、議会・住民・首長を巻き込んで議論が続くクラブです。深掘りページを用意しています。

クラブリーグスタジアム/所有論点詳細
ブラウブリッツ秋田J2 ソユースタジアム
秋田市
基準未達で新スタ要望。費用負担・公設か民設かで県知事と対立、市長選の争点にも。税リーグ論の最大の火種 時系列で追う →
清水エスパルスJ1 IAIスタジアム日本平
静岡市
老朽化・基準未達。約300億円規模の新スタ構想で、市負担約150億円が議論に 時系列で追う →
FC琉球J3 沖縄県総合運動公園
沖縄県
J規格スタジアム不在。県主導で約264億円のJ1規格新スタ計画 時系列で追う →
サンフレッチェ広島J1 エディオンピースウイング
広島市
“街なか成功例”として評価される一方、約257億円の公費で建設。「民設」という誤解が独り歩き。完成後の稼働・汎用性も論点 検証を読む →
浦和レッズJ1 埼玉スタジアム2002
埼玉県
W杯向けに約356億円の公費で建設。指定管理料は年約3億円。2025年に浦和が指定管理者から非指名、使用料は実質2倍に 検証を読む →
FC町田ゼルビアJ1 町田GIONスタジアム
町田市
町田市が段階的に公費改修(2018〜21年に約48億円等)してJ1基準に対応
アスルクラロ沼津J3 愛鷹広域公園
静岡県
実収容約5,000人でJ2基準未達。「5年以内に新スタ供用」が昇格条件の典型例
J2

J2クラブのスタジアム(所有者確認済み15クラブ)

2025年J2から、所有者を出典確認できた15クラブ。民設は磐田・今治・長崎のわずか3例です。

クラブスタジアム(愛称)所有収容タイプ新スタジアム動向
ジュビロ磐田ヤマハスタジアムヤマハ発動機約15,165専用
V・ファーレン長崎ピーススタジアムジャパネット約20,000専用2024年開業(完全民設)
FC今治アシックス里山スタジアム今治.夢ビレッジ5,316専用将来15,000席まで増築可
藤枝MYFC藤枝総合運動公園サッカー場藤枝市約10,000専用条件付きJ1ライセンス。5年内に15,000席規模の新設が条件 →時系列
水戸ホーリーホックケーズデンキスタジアム水戸水戸市約12,000陸上新設を断念し県有施設へ移転で決着 →時系列
RB大宮アルディージャNACK5スタジアム大宮さいたま市約15,500専用県の公園再整備と連動、4万人規模案が浮上 →時系列
ジェフ千葉フクダ電子アリーナ千葉市19,781専用81億円の専用スタでも16年昇格できず(対照例) →検証
ヴァンフォーレ甲府JITリサイクルインクスタジアム山梨県約17,000陸上県が「負担大」と構想を凍結、民間案が浮上 →時系列
カターレ富山富山県総合運動公園陸上競技場富山県登録18,588陸上富山駅東に専用スタ構想、事業費は未算出 →時系列
レノファ山口FC維新みらいふスタジアム山口県約19,600陸上サッカー専用スタジアム構想(議論段階)
徳島ヴォルティスポカリスエットスタジアム徳島県19,514陸上「まちなかスタジアム」構想は13年塩漬け →時系列
愛媛FCニンジニアスタジアム愛媛県約21,000陸上
サガン鳥栖駅前不動産スタジアム鳥栖市約20,000専用基準充足済
ロアッソ熊本えがお健康スタジアム熊本県約32,000陸上アクセス難で「市外も想定」の打診。県は慎重で停滞 →時系列
大分トリニータクラサスドーム大分大分県約40,000陸上

※「タイプ」の「陸上」は陸上トラック併設(サッカー観戦環境に課題があり専用化要望が出やすい)、「専用」はサッカー/球技専用。収容人数は出典により幅があります。

J3

J3クラブのスタジアム(全20クラブ)

2025年J3の全20クラブ。18クラブが自治体所有、純民間所有は栃木シティのみ、宮崎は「民間建設→町へ寄贈」の混合型です[1]

クラブスタジアム(愛称)所有収容スタジアム問題
ヴァンラーレ八戸プライフーズスタジアム八戸市5,200J2基準(1万人)未達
福島ユナイテッドFCとうほう・みんなのスタジアム福島県5,710席数未達で例外J2ライセンス。木造スタ構想も事業費未定 →時系列
栃木SCカンセキスタジアムとちぎ栃木県約25,000J1・J2基準充足
栃木シティCITY FOOTBALL STATION民間所有約5,128例外規定でJ2昇格。個席化・屋根増設を計画
ザスパ群馬正田醤油スタジアム群馬群馬県15,253新スタは目標だけ先行。練習場に企業版ふるさと納税18億円 →時系列
SC相模原相模原ギオンスタジアム相模原市実6,291基準未達。隣の海老名市へJ1規格を要望、両市長は公費否定 →時系列
松本山雅FCサンプロ アルウィン長野県20,000専用・基準充足
AC長野パルセイロ長野Uスタジアム長野市15,491専用・基準充足
ツエーゲン金沢金沢ゴーゴーカレースタジアム金沢市10,4442024年公費新設(総事業費110〜120億に膨張) →検証
アスルクラロ沼津愛鷹広域公園多目的競技場静岡県実5,056J2基準未達。県東部スタジアム構想を協議中
FC岐阜長良川競技場岐阜県Jリーグ時約16,300J1ライセンス取得済(陸上併設が課題)
FC大阪東大阪市花園ラグビー場東大阪市27,346指定管理者かつ寄贈者の二重立場、第2G改修は2028年完成目標 →時系列
奈良クラブロートフィールド奈良奈良市約30,000県の2万人「聖地」構想は白紙、現ホーム改修へ →時系列
ガイナーレ鳥取Axisバードスタジアム鳥取市実11,999増席は公費頼みで頓挫、一方YAJINは民設で自力整備 →時系列
カマタマーレ讃岐Pikaraスタジアム香川県30,0993万人級に観客約2千人、屋根未達だが県は及び腰 →時系列
高知ユナイテッドSC春野総合運動公園陸上競技場高知県25,000芝生席が大半・個席少。新設は未決定
ギラヴァンツ北九州ミクニワールドスタジアム北九州北九州市・PFI15,300日本初のPFIで整備。専用・基準充足
テゲバジャーロ宮崎いちご宮崎新富サッカー場新富町・民設町有5,226民間建設→町へ寄贈。J2基準未達
鹿児島ユナイテッドFC白波スタジアム鹿児島県15,0448年迷走、候補地2案とも200億円超 →時系列
FC琉球タピック県総ひやごんスタジアム沖縄県実約10,189奥武山公園にJ1規格新スタ計画(約264億円)
この20クラブのうち、税金と無関係に立つのは栃木シティ(純民間所有)ただ1つ。北九州はPFI、宮崎は「民間が建てて町に寄贈」という工夫がありますが、それ以外の17クラブはすべて自治体所有の施設です。「Jリーグ=公共スタジアムに支えられている」という構造が、J3では特にはっきり表れています。
J1

J1クラブについて

J1でも構造は同じで、多くが自治体所有のスタジアムを使用しています(埼玉スタジアム=埼玉県、日産スタジアム=横浜市、味の素スタジアム=東京都、カシマスタジアム=茨城県 など)。 年間数億円規模の指定管理料の実例は、税リーグ問題とは(実際の金額を見る)のページで一覧にしています。

J1全20クラブの網羅一覧は現在整理中です。本ページではまず、構造がはっきり表れるJ2・J3と、主要論点クラブを優先して掲載しています。※上記J1スタジアムの所有者は広く知られた通説で、個別の一次確認は今後追記します。
SOURCES

出典

  1. J3全20クラブの所有形態:各スタジアムのWikipedia・自治体公式・クラブ公式・Jリーグ公式で確認(栃木シティ=日本理化工業所所有、宮崎=民間建設→新富町へ寄贈、北九州=日本初のPFI等)。※収容人数・竣工年など数値は出典により差があり、公表用には一次資料での最終確認を推奨。
  2. 広島=エディオンピースウイング広島(Wikipedia/日経PPP)、京都=サンガスタジアム by KYOCERA(京都府公式/Wikipedia)。いずれも自治体が事業主体の公費建設。
  3. 長崎スタジアムシティ(Wikipedia/日経クロストレンド)、ヤマハスタジアム(Wikipedia/クラブ公式)、FC今治(footballista/文科省資料)、吹田(Wikipedia/日経xTECH)、指定管理料(toto-football-lover)ほか。