CASE STUDY 09 | 徳島ヴォルティス

徳島・「まちなかスタジアム」構想
——13年塩漬けの150億円構想

徳島駅前に約2万人規模のサッカー専用スタジアムを——。経済団体が打ち出したこの「まちなかスタジアム」構想は、 約150〜180億円という巨額でありながら、13年以上ほぼ動いていません。公約に掲げた知事は落選し、 現県政が実際に整備するのはサッカーではなくバスケ用アリーナ。他とは違う「進まない」税リーグ問題です。

対象期間:2012年〜2026年/構想段階のまま停滞中です
ポカリスエットスタジアム
現在のホーム「ポカリスエットスタジアム」(まちなかスタジアム構想は停滞) 写真:Yumemi.K(CC BY 3.0)/ Wikimedia Commons
WHY IT MATTERS

問題の背景

徳島ヴォルティスの現ホーム「ポカリスエットスタジアム」(徳島県鳴門総合運動公園陸上競技場、徳島県所有)は 陸上トラック併設で、県都・徳島市から離れた鳴門市にあります。そこで浮上したのが、徳島駅前に2万人規模の サッカー専用複合スタジアムを建てる「まちなか(街中)スタジアム」構想です[1]

このケースの特徴——「進まない」税リーグ問題 秋田や相模原のような激しい対立とは対照的に、徳島は巨大構想が長く宙に浮いたままのケースです。 2012年に民間の経済団体が提言して以来、公式な事業化決定も費用負担の枠組みも定まらないまま13年以上。 「作りたい」という願望だけが、事業の裏付けを欠いたまま残り続けています。
約150〜180億円
構想の想定事業費(2012年試算)
13年+
提言から進展のない年数
県はバスケ
アリーナへ
現県政が実際に動かす整備対象
TIMELINE

時系列(2012 → 2026)

2012年1月 ★

経済団体が「街中スタジアム」構想を提言(約150〜180億円・2万人)

徳島ニュービジネス協議会が、徳島駅すぐ北の公有地(約5万㎡)にサッカーをメインとする複合施設を提案。 約2万人収容、事業費は150億〜180億円と見積もり、寄付募集にも言及した。あくまで私的経済団体の提言(構想段階)。

出典:ドメサカブログ(徳島新聞報道の引用・2012.1)/Wikipedia「徳島ヴォルティス」
2012・2014・2022年

現スタジアムは公費で段階的に改修

県所有のポカリスエットスタジアムは、2012年に個別席を整備しJ1基準に適合、2014年に個別席5,688席+屋根を整備、 2022年に陸上トラックを国際基準に改修。既存施設が税で相当に整備されているという文脈がある。

出典:Wikipedia「徳島ヴォルティス」
2012年以降

「街中スタジアム」構想は事実上停滞

提言後、実現に向けた県・市の公式決定は確認できず、構想は宙に浮いたまま。「これ以降、目立った動きはない」と記録される。

出典:Wikipedia「徳島ヴォルティス」
2023年2月4日

飯泉知事(当時)が知事選の公約に「まちなかスタジアム構想への挑戦」

6期目を目指す出馬会見で政策の一つに掲げる。ただしサッカー専用か否かなど内容は報道でも曖昧で、解釈が割れた。

出典:JとFの歩き方(徳島新聞等を引用・2023.2)
2023年4月9日 ★

知事選で後藤田氏が初当選、公約に掲げた飯泉氏は落選

「まちなかスタジアム」を掲げた飯泉氏が敗れ、後藤田正純氏が当選。後藤田県政の主要公約は子育て・医療・防災などで、 サッカー専用スタジアムは前面に出ていない。構想は県政の優先事項から外れた。

出典:日本経済新聞/徳島新聞(2023.4)
2024年11月〜2025年6月

県が実際に動かすのは「アリーナ」(バスケ用)

後藤田知事の下で具体化しているのは、プロバスケ新B1基準(5,000席以上)を満たすアリーナ整備で、 候補地は徳島東工業高校跡地。「駅からの近さより建設スピードを重視」と説明された。サッカー専用スタジアムとは別物。

出典:日本経済新聞/徳島新聞デジタル(2024.11/2025.6)
<混同注意> このページの主題はサッカーの「まちなかスタジアム」構想です。現県政が進めるのはバスケ用の 「アリーナ」であり、両者は別事業です。両者を混同した情報が一部にあるため、本サイトでは区別して扱います。
ANALYSIS

この事例が問いかけること

批判の視点 約150〜180億円という巨額構想が、費用負担の枠組み(公費か民間か)すら定めないまま13年以上「願望」として残り続ける。 しかも県所有の現スタジアムは、すでに三度にわたり税で改修されてきた。既に公費で整った施設がありながら、 裏付けのない新設構想が独り歩きする——これも税リーグ問題の一つの形だ。
公平に見れば:抑制的な面も 裏を返せば、徳島は無理に公費を投じて新スタジアムを建てていないケースでもある。 メインスポンサーやクラブが「身の丈経営」を志向し、既存の県有スタジアムを活用してきたことは、 公費依存を避ける現実的な姿勢とも評価できる。構想が進まないこと自体が、必ずしも悪ではない。

徳島のケースは、「壮大なスタジアム構想」と「それを実現する財源・意思」がいかに別物かを示します。 夢を語るのは自由だが、誰の負担で実現するのかを詰めなければ、構想は永遠に宙に浮く—— その現実を、13年の停滞が物語っています。

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SOURCES

出典

  1. ドメサカブログ(2012.1 徳島新聞報道の引用:構想・規模・事業費)/Wikipedia「徳島ヴォルティス」(構想の停滞・現スタの公費改修)/JとFの歩き方(2023 飯泉知事公約)/日本経済新聞・徳島新聞(2023 知事選、2024〜2025 アリーナ整備)。※現スタ収容人数は出典により差(約19,514/17,924人ほか)。事業費・規模の確定値、および「2026年までに方向性を示す」との報道は一次確認が必要。
構想・提案段階の案件を報道・公開資料に基づき整理したものです。とくに「サッカー専用のまちなかスタジアム構想」と「バスケ用アリーナ整備」は別事業であり、混同しないよう区別しています。最新情報は各一次資料でご確認ください。特定の個人・団体を誹謗中傷する意図はありません。