徳島駅前に約2万人規模のサッカー専用スタジアムを——。経済団体が打ち出したこの「まちなかスタジアム」構想は、 約150〜180億円という巨額でありながら、13年以上ほぼ動いていません。公約に掲げた知事は落選し、 現県政が実際に整備するのはサッカーではなくバスケ用アリーナ。他とは違う「進まない」税リーグ問題です。
徳島ヴォルティスの現ホーム「ポカリスエットスタジアム」(徳島県鳴門総合運動公園陸上競技場、徳島県所有)は 陸上トラック併設で、県都・徳島市から離れた鳴門市にあります。そこで浮上したのが、徳島駅前に2万人規模の サッカー専用複合スタジアムを建てる「まちなか(街中)スタジアム」構想です[1]。
徳島ニュービジネス協議会が、徳島駅すぐ北の公有地(約5万㎡)にサッカーをメインとする複合施設を提案。 約2万人収容、事業費は150億〜180億円と見積もり、寄付募集にも言及した。あくまで私的経済団体の提言(構想段階)。
県所有のポカリスエットスタジアムは、2012年に個別席を整備しJ1基準に適合、2014年に個別席5,688席+屋根を整備、 2022年に陸上トラックを国際基準に改修。既存施設が税で相当に整備されているという文脈がある。
提言後、実現に向けた県・市の公式決定は確認できず、構想は宙に浮いたまま。「これ以降、目立った動きはない」と記録される。
6期目を目指す出馬会見で政策の一つに掲げる。ただしサッカー専用か否かなど内容は報道でも曖昧で、解釈が割れた。
「まちなかスタジアム」を掲げた飯泉氏が敗れ、後藤田正純氏が当選。後藤田県政の主要公約は子育て・医療・防災などで、 サッカー専用スタジアムは前面に出ていない。構想は県政の優先事項から外れた。
後藤田知事の下で具体化しているのは、プロバスケ新B1基準(5,000席以上)を満たすアリーナ整備で、 候補地は徳島東工業高校跡地。「駅からの近さより建設スピードを重視」と説明された。サッカー専用スタジアムとは別物。
徳島のケースは、「壮大なスタジアム構想」と「それを実現する財源・意思」がいかに別物かを示します。 夢を語るのは自由だが、誰の負担で実現するのかを詰めなければ、構想は永遠に宙に浮く—— その現実を、13年の停滞が物語っています。