2017年の検討開始から8年。ドルフィンポート跡地案は県が拒否し、続く北ふ頭案も断念——。候補地は二度も 振り出しに戻りました。残る2案はいずれも総事業費200億円超で、駐車場はわずか146台。財源の分担すら 決まらないまま、数字だけが膨らんでいます。
鹿児島ユナイテッドFCの現ホーム「白波スタジアム」(県立鴨池陸上競技場、鹿児島県所有・約1.5万人・1970年完成)は J1基準を満たしません。鹿児島市は2017年から新スタジアムを検討してきましたが、有力候補地が次々に頓挫し、 8年たっても着工どころか基本計画すら固まっていません[1]。
県・市・競技団体・観光関係者らで構成する「サッカー等スタジアム整備検討協議会」が発足し、初会合。新スタジアム検討がスタートする。
協議会で県側が「所有者の県としては、ドルフィンポート敷地にサッカースタジアムの立地は考えていない」と明言。景観保護などが理由とされた。
ドルフィンポート跡地・住吉町15番街区・浜町バス車庫を候補地として提示。「都心部が望ましい」との結論が示された。
塩田康一知事が慎重姿勢を示す一方、県はドルフィンポート跡地で新総合体育館(アリーナ)構想を推進(2022年1月に構想案を知事へ提出)。スタジアムと土地が競合し、議論が停滞する。
県市が改めて整備の意向表明書を提出。候補地からドルフィンポート跡地・住吉町15番街区を除外し、鹿児島港本港区「北ふ頭」を軸に据えた。
2月、知事が市長へ「港湾計画の変更・港湾事業者の調整に多大な時間を要し困難」と伝達。市は北ふ頭整備の断念を表明した。北ふ頭案の浮上からわずか約8か月での白紙撤回だった。
鹿児島サンロイヤルホテルの移転表明を受け、その跡地(与次郎1丁目)が新たな候補地に。与次郎地区の2案(鴨池庭球場敷地/サンロイヤル跡地)へと絞られていく。
市が候補地2カ所の立地可能性調査費1,620万円を計上。調査は2026年5月終了をめどとした。
3団体が整備を求める署名10万302筆と要望書を市へ提出。世論の後押しが示された。
スタジアム本体は5階建て・延床約29,055㎡・約15,600席、本体工事費約162億円。これに、 鴨池庭球場案=移設費28億円を加え約215億円(供用2036年度)、 サンロイヤル跡地案=土地取得106億円を加え約293億円(供用2038年度)と試算。 両案とも駐車場は146台のみで、事業費の差は78億円だった。
県は「県の財政負担を前提としない」と慎重姿勢。下鶴市長は本体約200億円を念頭に「オール鹿児島(県・市・民間)での費用分担が必要」とし、早期協議を求めた。財源は国庫補助・企業版ふるさと納税・民間資金を想定するが、公費負担の分担すら未合意のまま。
鹿児島のケースは、「作りたい」という熱意と「誰がいくら払うのか」という現実の間で、8年間答えを出せずにいる姿を映します。 負担の枠組みを先に固めずに規模の話が進む危うさは、多くの地方クラブに共通する教訓です。