「日本初の完全木造・世界初の循環型スタジアム」——福島ユナイテッドが掲げる構想は、復興の象徴として夢があります。 しかし事業費・財源・建設地はいずれも未定で、当初の完成目標は早々に白紙に。4期連続赤字・平均入場1,800人のクラブに、 市は用地・建設の協力を表明し、「公設民営」も選択肢——理念と数字のギャップが問われます。
福島ユナイテッドFCの現ホーム「とうほう・みんなのスタジアム」(福島県営あづま陸上競技場、福島県所有)は、 メインスタンド6,500席でJ2基準の8,000席に未達。クラブは2023年10月、「昇格後5年以内に新スタジアムを新設・供用」を約束する例外規定で J2ライセンスを取得しました。そして2025年、「循環型木造スタジアム」という意欲的な構想を打ち出します[1]。
福島県が「とうほう・みんなのスタジアム」に照明鉄塔4基を新設し芝張替も完成。ライセンスの照明要件に公費で対応した。
Jリーグが福島Uに交付。通常要件(8千席以上・大型ビジョン等)を満たさないため、 「昇格決定後、スタジアムを5年以内に新設し供用開始する」ことを約束する例外規定を適用した。
2023年秋に存続危機に陥り、2024年4月の株主総会で筆頭株主が変更(スポーツX主導の新体制)されて存続が決まった。 経営基盤が揺らぐ中での新スタジアム構想となる。
小山淳CEOが福島市内への建設意向を初表明。あわせて第14期純損失1億5,900万円(4期連続赤字)、 平均入場者1,800人、売上5億2,300万円を開示。現スタは「メインスタンド6,500席でJ2基準8千席に未達」とした。
「みんなでつくるスタジアム=日本初の完全木造&世界初の循環型木造」を掲げる。約5,000〜6,000席、福島県産材を積層し (式年遷宮に着想)、雨水再利用・雪冷房などエネルギー循環設計。設計はVUILD+Arupら。しかし 事業費・財源・建設地・着工時期はいずれも「検討中/未定」だった。
木幡浩市長が市議会で「市として用地確保や建設などに関し協力、支援に努める」と答弁。「復興の象徴」と位置づけた。 公費関与の可能性が公式に示された。
完成時期は当初2028年度を予定していたが、建設費高騰と建設予定地の選定難航で計画見直し・「白紙」と報じられた。 構想(コンセプト)が先行し、実現スケジュールが早くも崩れた形。
鈴木勇人社長が、市の協力で地権者と協議中とし、条件は「公共交通の最寄駅から20分以内」。敷地確定後に実施設計・着工。 資材高騰を踏まえ建設費の縮減案を検討し、発注形態は「民設民営」または「公設民営」を検討中とした。
福島のケースは、「理念の魅力」と「事業の裏付け」をどう両立させるかを問います。 復興や環境という大義があるほど、費用と財源の議論を後回しにしないことが、かえって構想を守ることにつながります。 年度内とされる建設地選定と、そこで示される事業費こそが、この構想の正念場です。