事件の概要
この事件は、旅工房が新型コロナウイルス感染拡大期に国から受け取った雇用調整助成金について、申請内容と実際の勤務状況に乖離があった疑いが浮上したことに端を発します。
- 不正受給の疑い: 旅工房は、2020年3月から2022年11月にかけて、累計で約8億円に上る雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を受給していました。社内調査の結果、これらの申請内容に精査を要する疑義があることが判明し、外部の弁護士や会計士を含む特別調査委員会が設置されました。
- 追加の不正指摘: 特別調査委員会は、雇用調整助成金の不正受給だけでなく、不適切なソフトウェア資産の計上や、元従業員による旅行手配ミスによる損失の先送りといった、他の不正な取引も明らかにしました。
- 経営陣の責任: 調査報告書により不正が認定されたことを受け、岩田静絵社長は引責辞任しました。また、岩田氏とともに問題発生時にコーポレート部門に在籍し、問題の認識がありながら適切に対応しなかったとされた朝居宏文取締役も、暫定的に後任社長を務めた後、退任することが発表されました。
この事件は、コロナ禍における国の助成金制度の利用における企業の倫理観が問われる出来事として注目されました。

旅工房とは?
株式会社旅工房は、東京都豊島区に本社を置く、海外旅行や国内旅行を扱う総合旅行会社です。
事業内容
旅工房の最大の特徴は、お客様一人ひとりに専任の「トラベル・コンシェルジュ」がつき、相談から帰国まで一貫してサポートするスタイルです。オンラインでの集客に力を入れ、店舗にかかるコストを抑えることで、お客様の要望に合わせた旅行を提案・手配しています。ヨーロッパやアジアなど、地域ごとの専門スタッフが在籍していることも強みです。
沿革
- 1994年: 設立。海外航空券や海外宿泊券の販売を開始。
- 1998年: オンライン販売を開始し、専門スタッフによる個別相談を導入。
- 2003年: 観光庁長官登録旅行業(第1種)を取得。
- 2020年代: 新型コロナウイルスの影響を受けるも、徐々に海外旅行の需要が回復。
最近の動向
先日のニュースでもお伝えした通り、旅工房は雇用調整助成金の不正受給が発覚し、それに伴い岩田静絵社長が引責辞任しました。また、不正なソフトウェア資産の計上や、元従業員による旅行手配ミスなど、他の不適切な取引も明らかになっています。この問題を受け、経営体制の刷新と再発防止策の徹底が求められています。