科学研究費補助金の不正使用等の防止 https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/06082406/005/005.htm
科学研究費補助金の不正使用等の防止
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資料4 |
1. | 最近の科学研究費補助金の不正使用・不正受給の事例 |
不正使用の態様例 | |
・預け金… 架空の取引により大学に代金を支払わせ、業者に預け金として管理させること・カラ出張… 実体を伴わない出張の旅費を大学に支払わせること。・カラ謝金… 実体を伴わない作業の謝金を大学に支払わせること。 | |
不正使用・不正受給の事例 | |
○ 平成8年度から平成15年度にかけて、応募・受給資格がない研究者が科学研究費補助金の応募・交付申請を行い、不正に補助金を受給していた。 ○ 平成11年度から平成15年度に交付された科学研究費補助金において、実際には格安航空運賃で渡航したにも拘わらず正規航空運賃を支払ったとして外国出張旅費を請求し、差額を不正に受給していた。この他、研究遂行のために作業をさせた対価として支払われた謝金のうち、労働の対価として支払われたものと認められないものがあった。 ○ 平成8年度~平成14年度に交付された科学研究費補助金について、消耗品を購入したように装い、補助金を請求し、業者に預け金として管理させていた。 ○ 平成10年度~平成12年度に交付された科学研究費補助金について、実体の伴わない旅費や謝金の支出を行っていた。 | |
※ 補助金の不正な使用が行われた場合には、その内容に応じ、補助金の返還命令、一定期間の応募資格停止措置、刑事罰などが課されます。応募・受給資格停止措置:不正な使用等を行った研究者について2~5年 不正な使用等を行った研究の共同研究者(研究代表者、研究分担者)について1年 不正な使用等についての共謀を行った研究者について2~5年 | |
2. | 科学研究費補助金の不正使用防止のための各研究機関の義務 |
○研究機関による補助金の管理 〔科研費ハンドブック(研究機関用)12頁〕 研究機関による科研費の管理は、研究者・研究機関の双方の義務とされています。各研究機関においては、雇用契約、就業規則、個別契約等において、このことを定めなければなりません。 〔参照〕 研究者向け「使用ルール」 〔科研費ハンドブック(研究者用)19頁〕 【研究機関による補助金の管理等】 1-4 研究代表者及び研究分担者は、所属する取扱規程第2条に規定する研究機関(以下「研究機関」という。)に補助金の管理を行わせるとともに、この補助条件に定める諸手続を当該研究機関を通じて行わなければならない。研究代表者及び研究分担者が所属する研究機関を変更した場合も、同様とする。 研究機関向け「使用ルール」 2 研究者との関係に関する定め 雇用契約、就業規則、勤務規則、個別契約等により、研究者が交付を受ける補助金(直接経費:補助事業の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費、間接経費:補助事業の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費)について、研究機関が次の事務を行うことを定めること。2-1 研究者に代わり、補助金(直接経費)を管理すること。2-2 研究者に代わり、補助金(直接経費・間接経費)に係る諸手続を行うこと。2-3 研究者が直接経費により購入した設備、備品又は図書(以下「設備等」という。)について、当該研究者からの寄付を受け入れるとともに、当該研究者が他の研究機関に所属することとなる場合には、その求めに応じて、これらを当該研究者に返還すること。2-4 研究者が交付を受けた間接経費について、当該研究者からの譲渡を受け入れ、これに関する事務を行うとともに、当該研究者が他の研究機関に所属することとなる場合には、直接経費の残額の30パーセントに相当する額の間接経費を当該研究者に返還すること。(間接経費の譲渡を受け入れないこととしている研究機関を除く。) ○研修会・説明会の開催 〔科研費ハンドブック(研究機関用)82頁〕 各研究機関は、補助金の不正な使用を防止するため、研究者及び事務職員を対象として、研修会・説明会を積極的・定期的に実施しなければなりません。 〔参照〕 研究機関向け「使用ルール」 【研修会・説明会の開催】 4-1 補助金の不正な使用を防止するため、研究者及び事務職員を対象として、研修会・説明会を積極的・定期的に実施すること。 ○内部監査の実施 〔科研費ハンドブック(研究機関用)83頁〕 各研究機関は、無作為に抽出した補助事業について、毎年「通常監査」及び「特別監査」を実施し、11月下旬の科研費の応募の際には、その実施状況及び結果を、文部科学省・日本学術振興会の双方に報告しなければなりません。 〔参照〕 研究機関向け「使用ルール」 【無作為抽出により内部監査の実施】 4-2 毎年無作為に抽出した補助事業(全体の概ね10パーセント以上が望ましい)について、監査を実施し、各年度の応募の際に、その実施状況及び結果について文部科学省に報告すること。 なお、上記により実施する監査の一部(監査を実施する補助事業の概ね10パーセント以上が望ましい)については、書類上の調査に止まらず、実際の補助金使用状況や納品の状況等の事実関係の厳密な確認などを含めた徹底的なものとすること。 ○不正な使用に係る調査の実施 〔科研費ハンドブック(研究機関用)84頁〕 補助金の不正な使用が明らかになった場合(不正な使用が行われた疑いがある場合を含む)には、速やかに調査を実施し、その結果を文部科学省・日本学術振興会に報告しなければなりません。 〔参照〕 研究機関向け「使用ルール」 【不正な使用に係る調査の実施】 4-3 補助金の不正な使用が明らかになった場合(不正な使用が行われた疑いのある場合を含む)には、速やかに調査を実施し、その結果を文部科学省に報告すること。 | |
3. | 平成17年度内部監査及び科研費説明会・研修会の実施状況について |
平成17年度より、科研費を交付する研究機関に対し内部監査の実施と科研費説明会・研修会の開催を研究機関の義務として求めたところであり、その実施状況を把握するため、平成18年度の科研費の応募に合わせて、研究機関における内部監査及び科研費説明会・研修会の実施状況について調査を行った。調査結果は次のとおり。 内部監査の実施状況 ○ 内部監査については、当年度に交付決定された研究課題数の10パーセントを対象に通常監査として実施を求め、このうち10パーセントを対象に特別監査として実施を求めた。 ○ 平成17年10月31日現在交付決定された研究課題数に対する通常監査実施件数の比率は14.2パーセント、通常監査実施件数に対する特別監査実施件数の比率は25.6パーセント。 科研費説明会・研修会の実施状況 実施機関 1,076機関 ○ 参加者数はのべ6万9千人、うち研究者は5万6千人、事務職員等は1万3千人。 ○ 学校法人の大学と短期大学、近隣地域内の大学と高等専門学校、大学共同利用機関法人の複数の研究所等が合同開催しているもの 18例 | |
4. | 科学研究費補助金の不正使用等に伴う応募資格の停止について |
科研費の応募資格の停止について 科研費の不正な使用等が行われた研究の遂行に研究代表者・研究分担者等として加わった者が行う研究は、一定期間科研費交付対象から除外される。 不正な使用等を行った研究者本人 -1 他用途使用を行っていない場合は、 ・返還命令が行われた年度の翌年度から2年間、・新規課題であると継続課題であるとを問わず、・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 (例) 交付決定権者の承認を得ずに、研究代表者を交替した場合…2年 -2 他用途使用を行っていた場合は、 ・返還命令が行われた年度の翌年度から程度に応じて2~5年間(具体的に何年にするかは別表の基準に基づき交付決定権者が決める)、・新規課題であると継続課題であるとを問わず、・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 (例1) 契約を偽装して研究機関の事務局の経理管理担当者をだまして科研費を支出させ、プールした場合(いわゆる「預け金」など)…4年(例2) 科研費を遊興費に使用した場合…5年 〈不正な使用等を行った研究者本人への措置の適用時期について〉 当該不正な使用等が行われた時期が何年前であろうと、取消・返還命令が行われたのが平成15年9月12日以降であれば、適用される。 不正な使用等を行った研究者の共同研究者 不正な使用等を行った研究者本人が他用途使用を行ったか否かに関わらず、 ・返還命令が行われた年度の翌1年度の間、・新規課題についてのみ・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 (例1) 研究代表者が科研費の不正な使用等をしたが、自らは不正な使用等をしていない研究分担者(例2) 研究分担者が科研費の不正な使用等をしたが、自らは不正な使用等をしていない研究代表者 ※ ここでいう「共同研究者」とは研究代表者か研究分担者であって、研究への協力をする者は含まれない。 〈不正な使用等を行った研究者の共同研究者への措置の適用時期について〉 平成16年度以降の科研費で不正な使用等が行われた場合に適用される。 他用途使用について共謀を行った研究者 ・他用途使用を行った研究者本人が受けた処分と同一の期間、・新規課題であると継続課題であるとを問わず、・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 (例) 他用途使用を行った研究代表者と、他用途使用について共謀を行ったが、自らは他用途使用を行っていない研究者 ※ 「共謀を行った研究者」は、研究代表者、研究分担者に限定されない。 〈他用途使用について共謀を行った研究者への措置の適用時期について〉 他用途使用を行った研究者本人に対する取消・返還命令が行われたのが、平成17年1月24日以降であれば適用される。 偽りその他不正の手段により交付を受けた研究者等 ・返還命令が行われた年度の翌年度以降5年間、・新規課題であると継続課題であるとを問わず、・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 (例) 補助金受給資格がないにもかかわらず、事実と異なる肩書きや他人の氏名を用いて応募し、科研費を不正に受給した場合 ※ 偽りその他不正の手段により交付を受けることを共謀した研究者もこれに含まれる。 〈偽りその他不正の手段により交付を受けた研究者、及びこれを共謀した研究者への措置の適用について〉 当該不正が行われた時期が何年前であろうと、偽りその他不正な手段により交付を受けた研究者に対する取消・返還命令が行われたのが平成17年1月24日以降であれば、適用される。 文部科学省所管及び他省庁等が所管するの他の研究費において交付対象除外措置を受けた研究者の科研費の応募資格の停止について 科研費と同様に、不正な使用等を行った研究者が行う研究を一定期間交付対象から除外する措置を導入している文部科学省及び他省庁等の所管する研究費(下記参照)で不正な使用等を行い、当該研究費において一定期間交付対象から除外される研究者についても、それと同じ期間、科研費交付対象から除外される。 |