福井県の建設業者で雇用調整助成金1000万円の不正受給

福井県の建設業 厚生労働省
  • 福井県福井市にある建設業者(株式会社リーペックス)が、 新型コロナウイルス対策のための 雇用調整助成金(雇調金)約1,006万7,734円 不正受給していたことが、福井労働局の調査で判明しました。
  • 具体的には、「休業していないにもかかわらず休業したとする虚偽の申請書類を作成して助成金を請求した」ことが、不正受給の内容です。
  • この事業者は、返還の意向を示しており、現在は返済計画を策定中とのことです。
  • 労働局はこの不正受給を認定し、支給を取り消す措置をとるとともに、助成金の返還を命じています。

このような不正受給事例は、福井労働局の公表リストのなかでも他事業者に対しても過去に確認されており、同局は “不正受給事業主等” を公表する制度を持っています。


雇用調整助成金(雇調金)とは何か・制度的意味

まず、雇用調整助成金制度(略して「雇調金」)がどういう制度かを簡単に説明します:

  • 雇用調整助成金は、企業が景気の変動や新型コロナウイルスの影響などにより業績悪化し、労働者を休業させざるを得ないときに、休業手当などの一部を国が助成する制度です。
  • 目的は、企業が「雇用を維持」することを支援すること。休業などを通じてむやみに解雇を行うのを抑制するという社会的な役割があります。
  • 要件として、休業等をすること、休業手当を支払うこと、所定の手続きや報告を行うことなどが必要です。虚偽の申請や実際には休業していないのに休業したとするような偽造申請は、制度の趣旨から明確に禁止されています。

この制度は、パンデミック期において多くの企業・業界で活用され、国・自治体からの補助金や助成金の中でも代表的なもののひとつでした。

この制度を悪用して不正受給をすることは、公共の財政資源を不適切に使うことになり、助成金制度全体の信頼を揺るがすものとなります。


なぜこの件が問題になるか(法律・制度面・社会面)

この件が問題とされる点は、複数あります。

  1. 虚偽申請・不正受給
     休業していないにもかかわらず「休業した」と偽る申請は、明確に制度のルール違反です。制度設計上、実態に合わない申請がなされれば、公正性・透明性が損なわれます。
  2. 助成金の返還義務
     不正受給と認定された場合、支給を取り消され、受給した額を返還しなければなりません。加えて、場合によっては罰金・刑事責任が問われる可能性もあります。
  3. 制度の信頼性・運営コスト
     このような不正事案が続くと、制度自体への監視・審査が厳しくなり、正当な企業にも手続きが煩雑になるなどの「逆しわ寄せ」がでる可能性があります。
  4. 社会的倫理・公正感
     国民の税金で賄われる助成金制度であるため、制度を悪用した不正は社会正義・公正性の観点から強く批判を受けることになります。
  5. 行政処分および公表制度
     厚生労働省や地方労働局は、不正受給をした事業主を公表する制度を導入しています。福井労働局も「不正受給を行った事業主等」のリストを公表しています。
     公表により社会的責任を問う効果も期待されます。

福井県のその他の事例

事業主 / 会社名業種助成金額不正の内容
株式会社リーペックス(福井市)建設業約 10,067,734円休業していないのに休業とする申請書を作成(虚偽申請)
株式会社 LCM(福井市)美容業約 54,243,922円類似の虚偽申請
株式会社 福井眼鏡(福井市)眼鏡製造業約 19,288,759円同上
株式会社 辻機械(福井市)生産用機械器具製造約 18,179,865円同上

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