1764件もの不正が行われた
「雇用調整助成金」不正受給に関する2025年6月時点の調査要約
- 累計件数と金額
・2020年4月~2025年6月末の不正受給件数は累計1,764件
・不正受給総額は約571億円(1件あたり平均3,237万円)
- 2025年上半期の状況(1〜6月)
・公表件数は219件、月平均36.5件
・前年の月平均52件と比べて減少、9カ月連続で前年同月を下回る傾向
- 都道府県別件数(累計)
・最多は愛知県の284件(東京都215件、大阪府175件を上回る)
- 産業別傾向(1,345社の内訳)
・サービス業が最多(612社、45.5%)
・中でも飲食業が190社(全体の31%)
・次いで、建設業(179社)、製造業(148社)、運輸業(100社)
- 倒産との関係
・不正受給企業のうち、倒産したのは105件(5.95%)
・一般倒産率(0.28%)の約21倍と高水準
・不正が公表されると、信用失墜や資金難から倒産に追い込まれる例が多い
- 不正受給の種別
・「雇調金」のみ受給:1,026件(58.1%)
・「緊急雇用安定助成金」のみ:236件(13.3%)
・両方受給:502件(28.4%)
都道府県別件数
最多:愛知県284件(1県で近畿全体273件を上回る)
続く都府県:
- 東京都:215件
- 大阪府:175件
- 神奈川県:140件
- 千葉県:82件
- 栃木県:65件
- 福岡県:64件
- 広島県:60件
- 埼玉県:52件
- 宮城県:48件
- 三重県:41件
- 京都府:39件
- 新潟県:36件
- 群馬県:33件
- 茨城県:31件
地区 | 件数 | 構成比 |
---|
関東 | 660 | 37.4% |
中部 | 389 | |
近畿 | 273 | |
九州 | 146 | |
中国 | 105 | |
東北 | 86 | |
四国 | 55 | |
北陸 | 29 | |
北海道 | 21 | |
■ 前回(2025年5月)調査からの増加率
- 東北:+8.8%(7件増)
- 四国:+7.8%(4件増)
- 北陸:増加なし(横ばい)
産業別
産業分類 | 件数 | 構成比 |
---|
サービス業他 | 612 | 45.5% |
建設業 | 179 | 13.3% |
製造業 | 148 | 11.0% |
運輸業 | 100 | 7.4% |
小売業 | 89 | 6.6% |
卸売業 | 83 | 6.1% |
業種 | 件数 | 構成比 |
---|
飲食業 | 190 | 14.1% |
建設業 | 179 | 13.3% |
他のサービス業(人材派遣・業務請負等) | 131 | 9.7% |
生活関連サービス・娯楽業(旅行・美容等) | 106 | 7.8% |
運輸業 | 100 | 7.4%
|
■ ポイント
- 「飲食業」が最多で190社(14.1%)、コロナ禍の影響を強く受けた業種が目立つ。
- サービス業系(飲食・人材派遣・旅行・美容など)が全体の約半数を占める傾向。
- 建設・製造・運輸なども一定数の不正受給が確認されている。
■ 不正受給企業の倒産状況(2025年6月時点)
- 倒産件数:105件(全1,764件のうち5.95%)
→ 2025年2月時点から0.15ポイント増加
- 一般企業の倒産率(2024年度):0.28%
→ 不正受給企業の倒産率は約21倍と、極めて高水準
- 公表当日またはその後すぐに倒産した企業:66件(倒産企業の62.8%)
→ 不正が明るみに出る前後に経営破綻に至ったケースが多い
- 背景要因:
・すでに経営が悪化していた企業が多く、
・不正受給の返還に対応できず資金繰り破綻に陥ったとみられる
■ ポイント
- 不正受給が信用失墜と資金難を招き、倒産リスクを大幅に高める要因になっている
- 倒産は不正発覚後すぐに起きる傾向が強い
- 助成金の不正受給は、コンプライアンス違反による重大な経営リスクに直結する