【IT導入補助金登録取消】MY補助金パートナー事件の全貌|社名変更直後に処分、コンソーシアム構成員のキックバック発覚

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IT導入補助金(現:中小企業デジタル化・AI導入支援事業)の不正受給に絡み、東京都品川区の補助金コンサルティング会社「株式会社MY補助金パートナー(旧:株式会社Momentum Youth)」が、2026年3月17日付でIT導入支援事業者登録およびITツール登録の取消処分を受けました。社名変更からわずか1か月半後の処分公表で、補助金業界に衝撃を与えています。

本記事では、hojyokin.site編集部が、企業情報・処分の経緯・コンソーシアム構成員によるキックバックスキーム・補助事業者への波及・中小企業経営者が学ぶべき教訓まで、徹底的に深掘りします。

  1. 1. 株式会社MY補助金パートナー(旧Momentum Youth)とは
    1. 会社概要と代表者
    2. IT導入支援事業者とは何か
  2. 2. 2026年3月17日──登録取消処分の公表
    1. 中小機構による処分の事実関係
    2. 社名変更直後の不審なタイミング
  3. 3. 処分の核心──コンソーシアム構成員のキックバック
    1. 会社側が公式に認めた経緯
    2. IT導入補助金で禁止される「実質還元」
    3. 会社側の主張──「自社の直接関与は否定」
    4. 「法的争いの終了」を決断した理由
  4. 4. 補助事業者(顧客)への波及──「巻き込まれリスク」の現実
    1. 交付決定取消の連鎖
    2. 会社側の説明と「強く適正な対応を求める」表明
  5. 5. IT導入補助金で続出する登録取消──MY補助金パートナーは「氷山の一角」か
    1. 公表リストに名を連ねる企業群
    2. 会計検査院の指摘という背景
  6. 6. IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の制度概要
    1. 制度の目的
    2. 申請の特徴と不正の温床
  7. 7. 行政処分・刑事責任──登録取消だけでは終わらない可能性
    1. 補助事業者側のペナルティ
    2. 刑事責任の可能性
    3. 警察への通報の可能性
  8. 8. 中小企業経営者が学ぶべき教訓──5つのチェックリスト
    1. ① 「実質無料」「キャッシュバック」の提案は即断る
    2. ② 申請マイページの操作は自社で行う
    3. ③ 支援事業者の登録状況を定期確認する
    4. ④ コンサル任せの弁明は通用しないと自覚する
    5. ⑤ 疑義が生じたら早期に自主返還・専門家相談
  9. 9. まとめ──「幹事社責任」が問われる時代
  10. 参考情報

1. 株式会社MY補助金パートナー(旧Momentum Youth)とは

会社概要と代表者

株式会社Momentum Youthは、本社を東京都品川区南大井6-16-20 品川水神ビル6Fに置き、代表取締役は林田聡一朗氏で、補助金サポート事業を中心に企業の成長を支援するサービスを提供してきました2026年2月1日付で、事業内容の明確化および今後の事業展開を見据え、社名を「株式会社MY補助金パートナー(読み:エムワイホジョキンパートナー)」へ変更しています

同社は中小企業のIT導入補助金、人材開発支援助成金、省力化補助金などの申請サポートを手がける典型的な「補助金コンサル」であり、デジタル化・AI導入支援事業のIT導入支援事業者として登録されていました。

IT導入支援事業者とは何か

IT導入補助金は、補助事業者(中小企業)単独では申請できず、登録されたITベンダー=「IT導入支援事業者」と共同で申請する建付けです。IT導入補助金とは、中小企業等(制度上「補助事業者」と呼ばれる)が、「IT導入支援事業者」として登録を受けているITベンダーが提供する、登録されたITツールを導入した場合に、その費用について50%程度の補助を受けられる制度です

つまりIT導入支援事業者は、補助金申請における事実上のゲートキーパーであり、不正受給スキームの中核に位置することも少なくありません。

2. 2026年3月17日──登録取消処分の公表

中小機構による処分の事実関係

2026年4月24日更新の中小機構による「IT導入支援事業者の登録取消について」リストには、株式会社MY補助金パートナー(旧:株式会社Momentum Youth、代表者:林田聡一朗、東京都品川区、IT導入補助金2023後期・2024・2025)が掲載されました

会社側もすぐに公式発表を行っており、「令和8年(2026年)3月17日付で、中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局のホームページ上において、弊社に対するIT導入支援事業者登録およびITツール登録の取消処分が公表された」「日頃より弊社をご愛顧いただいておりますお客様、ならびに関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、心より深くお詫び申し上げます」と表明しました。

社名変更直後の不審なタイミング

注目すべきは、2026年2月1日の社名変更からわずか1か月半後の3月17日に取消処分が公表された点です。SNS上では「処分逃れの社名変更ではないか」という憶測も飛び交いましたが、会社側はこれを否定。一方で社名変更直後に処分というタイミングは、補助事業者・取引先からの信頼を大きく毀損する結果となりました。

3. 処分の核心──コンソーシアム構成員のキックバック

会社側が公式に認めた経緯

会社側は3月23日付の「重要なお知らせ」で、処分の原因を明確に開示しています。「本件は、当社が幹事社を務めるコンソーシアムの構成員において、補助事業者様との間で補助金の実質的還元(キックバック)と見なされる不適切な金銭のやり取りが行われていたことが原因です」

つまり、MY補助金パートナー自身が直接還流を主導したのではなく、同社が幹事社(リーダー)を務めるコンソーシアムの構成員企業が、補助事業者から補助金の一部をキックバックさせていたという構図です。

IT導入補助金で禁止される「実質還元」

IT導入補助金事務局は、こうしたキックバック行為を厳しく禁止しています。事務局は「ITツールの販売金額に占める補助事業者の自己負担額を減額又は無償とするような販売方法(形式・時期の如何を問わず、補助事業者に実質的に還元を行うもの)あるいは、一部の利害関係者に不当な利益が配賦されるような行為を行っていた場合」を不正行為と規定しています

「実質無料になるような取引や、キャッシュバックを受ける行為は不正であり、犯罪です」と明言されており、補助金交付規程上の取消事由を超え、刑事責任にも直結する論点です。

会社側の主張──「自社の直接関与は否定」

会社側は自社の直接関与を否定する立場を取っています。「当社自身が不適切な資金還流に直接関与・共謀した事実や、不正な利益を受領した事実はございません」「補助金申請支援等に関して受領していた費用につきましても、契約に基づく適正な業務の対価であり、補助金の還元やキックバック等の不当な利益には該当しない」としています。

しかしながら、「構成員の取引に疑義が生じた際、構成員に事実確認を行ったものの『補助金とは無関係の適正な取引である』という説明を鵜呑みにしてしまい、結果として不適切な実態を見抜くことができませんでした」「当社は幹事社として構成員を厳格に管理監督する立場にあったにもかかわらず、その責務を十分に果たせなかったこと、当社の確認不足と認識の甘さが招いた事態であり、その責任を極めて重く受け止めております」と、幹事社としての管理監督責任を認めています。

「法的争いの終了」を決断した理由

会社側は当初、登録取消処分について事務局と協議を継続していました。「これらの説明および資料提出にもかかわらず、最終的に弊社の主張が受け入れられるには至らず、登録取消処分に至る結果となりました」

最終的に、「お客様への影響最小化と事業の正常化を最優先とし、本件に関する法的措置等の争いをすべて終了させ、今回の登録取消処分を真摯に受け入れる決定をいたしました」と、処分の受け入れに転じました。

4. 補助事業者(顧客)への波及──「巻き込まれリスク」の現実

交付決定取消の連鎖

IT導入支援事業者が登録取消となった場合、補助事業者(中小企業)にも極めて深刻な影響が及びます。「IT導入支援事業者の登録取消がなされた場合、当該IT導入支援事業者に係る全ての交付申請について、事務局は交付決定を取消すことができる旨が交付規程第27条で定められています」

つまり、MY補助金パートナーを通じて申請・受給した中小企業の補助金は、自社に何の落ち度がなくても交付決定取消・全額返還の対象になり得るわけです。

会社側の説明と「強く適正な対応を求める」表明

会社側は顧客への影響を最小化したい意向を表明しています。「弊社を通じてすでにIT導入補助金を申請・受給されているお客様、および現在事業を実施中のお客様におかれましては、適正な手続きを行っていただいておりますため、弊社が関与したことのみを理由にお客様が不当な不利益(補助金の返還等)を被ることのないよう、弊社としても事務局に対し強く適正な対応を求めてまいります」

しかし、IT導入補助金事務局は不正に関与したベンダーが支援した事業全件について調査を行う方針を打ち出しており、補助事業者側の自己防衛が不可欠な局面です。

5. IT導入補助金で続出する登録取消──MY補助金パートナーは「氷山の一角」か

公表リストに名を連ねる企業群

中小機構が公表する登録取消リストには、近時、複数社が連続して掲載されています。2026年3月6日にはエンドライブ株式会社(兵庫県西宮市、代表者:桑原剛)、Stella株式会社(代表者:齋藤吟史)が、3月17日には株式会社MY補助金パートナー(旧:株式会社Momentum Youth、代表者:林田聡一朗、東京都品川区)が公表されました。

会計検査院の指摘という背景

この一連の取消ラッシュの背景には、会計検査院による厳しい指摘があります。会計検査院は今回の検査で不正受給を主導していた不適正ベンダー15者が支援した1978事業(既に不正認定した41事業を含む)58億2891万円について、不正受給がないか全件調査するよう事業を担当する中小企業庁と中小機構に求めました

会計検査院が検査に入ったことを契機に、補助金の事務局が2024年夏から調査と摘発に動き出し、中小機構は不適正なベンダーとして登録を取り消した事業者の公表を始めています。現在も調査が続き、不適正なベンダーは19者に増えました

6. IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の制度概要

本事件を理解するために、対象となるIT導入補助金(2026年から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」に改称)の概要を整理します。

制度の目的

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が会計・受発注・決済・人事労務・顧客管理などのITツールを導入する経費を支援する制度で、補助率は経費の約50%(枠により異なる)。経済産業省所管で、中小機構が事務局を担っています。

申請の特徴と不正の温床

IT導入補助金は、ITツールの導入のために支払った費用についての補助金で、受給するためには、補助事業者とIT導入支援事業者双方の協力が必要です。そのため、補助事業者(中小企業等)単体で不正受給に該当するような行為を行うことは通常は困難で、多くは補助事業者とIT導入支援事業者が結託して、あるいは一方が他方を半ば騙して巻き込むような形で不正受給が行われます

最も典型的なケースは、実際には価値の低いITツールについて高額で提供することにより高額の補助金の交付を受けつつ、IT導入支援事業者に支払った費用の一部についてキックバック(還流や実質的還元)を受け、補助金による利益を補助事業者とIT導入支援事業者で分け合うパターンです

MY補助金パートナー事件で問題視された「コンソーシアム構成員と補助事業者間のキックバック」は、まさにこの典型構造に該当します。

7. 行政処分・刑事責任──登録取消だけでは終わらない可能性

補助事業者側のペナルティ

IT導入補助金で不正と認定された補助事業者には、重い処分が課されます。交付決定の取消があれば、給付を受けた補助金の全額はもちろん、それに加え、年利10.95%の加算金、延滞金も併せて返金しなくてはなりません。年利ですので、不正受給の発覚や返金が遅くなればなるほど、返金総額は大きくなってしまいます

刑事責任の可能性

補助金の条件を満たしていると見せかけて補助金を受給すると、詐欺罪(刑法246条)に該当するケースがあります。詐欺罪は、10年以下の懲役が科せられる可能性があり、罰金刑がなく懲役刑のみとなる重い罪です。また補助金適正化法には、不正受給に関する処罰規定(補助金不正受交付罪―同法29条)があり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金もしくは両方が併科されます

警察への通報の可能性

IT導入補助金事務局は、交付規程及び公募要領の定めに反する事実が確認された場合、IT導入支援事業者の登録取消、補助事業者の交付決定の取消の他、事業者名の公表、警察への通報等の措置を取ることがあると明言しています

登録取消は「ゴール」ではなく、刑事責任への入口にもなり得るという点を、すべての関係者は認識する必要があります。

8. 中小企業経営者が学ぶべき教訓──5つのチェックリスト

MY補助金パートナー事件は、補助金コンサル業者の「管理監督責任」と、補助事業者の「巻き込まれリスク」の両面を浮き彫りにしました。中小企業経営者が今すぐ確認すべきポイントをまとめます。

① 「実質無料」「キャッシュバック」の提案は即断る

IT導入補助金事務局は「キャッシュバック」「実質無料」などは不正行為の可能性があると明確に警告しています。営業トークの中にこのワードが出てきた時点で、契約しないことが鉄則です。

② 申請マイページの操作は自社で行う

補助対象者がGビズIDを他者に共有し、申請マイページの開設やその後の交付申請における手続き等を行わせる行為は、不正であり、犯罪です。「全部やってくれる」という業者には警戒が必要です。

③ 支援事業者の登録状況を定期確認する

中小機構の公表する登録取消リストを定期的に確認し、自社の支援事業者が掲載されていないかチェックしましょう。

④ コンサル任せの弁明は通用しないと自覚する

「コンサルタントにすべて任せていた」「業者の指示に従っただけ」という弁明は通用しません。補助金の申請者は事業者本人であり、代理人や支援業者が不正を行った場合でも、申請者自身が責任を問われます。申請書の内容は、必ず自分の目で確認してから提出してください

⑤ 疑義が生じたら早期に自主返還・専門家相談

IT導入補助金事務局は、不正に関与してしまった場合の補助金の自主的な返還を受け付けています。不正であることを知りながら不正関与した場合は自己申告書を事務局まで提出することになり、返還にあたっては加算金を課したうえで返還・納付することになります。発覚後の対応次第で、刑事責任の重さは大きく変わります。

9. まとめ──「幹事社責任」が問われる時代

MY補助金パートナー事件が示したのは、補助金コンサル業者の「直接関与の有無」だけでは免責されないという現実です。コンソーシアムの幹事社として構成員を管理監督する立場にある以上、構成員のキックバック行為は会社全体の処分理由となり、社名変更を経たばかりの段階で全国に公表されるという結果を招きました。

中小企業経営者にとって最大の教訓は、「誰に申請を頼むか」が事業の命運を左右するということです。会計検査院主導の調査が継続する中、2026年下半期以降もIT導入支援事業者の登録取消、補助事業者の交付決定取消、そして個別事業者の刑事事件化は続くことが見込まれます。

hojyokin.site編集部では、引き続き個別事案の続報を追跡し、中小企業経営者が安全に補助金を活用できる情報発信を続けてまいります。

参考情報

  • 株式会社Momentum Youth「IT導入支援事業者登録の取消処分に関する弊社の見解および今後の対応について」(2026年3月17日): https://momentum-youth.co.jp/news/it%E5%B0%8E%E5%85%A5%E6%94%AF%E6%8F%B4%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%80%85%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%B6%88%E5%87%A6%E5%88%86%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%BC%8A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E8%A6%8B/
  • 株式会社Momentum Youth「【重要なお知らせ】IT導入支援事業者登録取消に関する経緯と当社の責任について」(2026年3月23日): https://momentum-youth.co.jp/news/%E3%80%90%E9%87%8D%E8%A6%81%E3%81%AA%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B%E3%80%91it%E5%B0%8E%E5%85%A5%E6%94%AF%E6%8F%B4%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%80%85%E7%99%BB%E9%8C%B2%E5%8F%96%E6%B6%88%E3%81%AB%E9%96%A2/
  • 中小機構「IT導入支援事業者の登録取消について」(2026年4月24日更新): https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/deregistration_list.pdf
  • 中小機構「不正行為にご注意ください」: https://it-shien.smrj.go.jp/antifraud/
  • 中小機構「IT導入補助金は不正を絶対に許しません」(2026年1月23日更新): https://it-shien.smrj.go.jp/news/1
  • PR TIMES「株式会社Momentum Youth、補助金サポート事業の強化に伴い『株式会社MY補助金パートナー』へ社名変更」(2026年2月1日): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000149644.html
  • 日経クロステック「IT導入補助金の不正受給1.5億円は氷山の一角、甘言に乗った中小企業には刑事罰も」: https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00989/111200163/
  • 上原総合法律事務所「IT導入補助金とは?不正受給や詐欺等の犯罪になってしまう場合や調査等への対応策について」: https://keiji-kaiketsu.com/field/fuseijukyuu/it-dounyuuhojokin/
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