条件に合わないので応募なし!?
相模原のJリーグのスタジアム問題。民設民営で募集をかけたところ、条件にあう応募がなかったので、当然見送りとなりました。プロスポーツとしては民設民営は当然のところです。スタジアム費用は近年高騰し、100億とも200億とも数字がでています。初期費用を民間の手で集めることが民設です。
しかし民設だけして、自治体に寄付してやったぞ!という事例もいくつか散見されます。
何百億円を寄付したように見えます。しかし自治体はその後何十年にもわたって公費でスタジアムを運営することになります。浦和スタジアムは年間7億円程度の維持運営費用がかかると言われています。30年としても210億円の費用を押し付けられることになります。
そこで、今回の相模原スタジアム問題の経緯をまとめてみましょう。
相模原スタジアム問題 ― 主な経緯(時系列)
年月 | 出来事 | 概要 |
---|---|---|
2014年 | 市とクラブが初協議 | SC相模原が「スポーツで街ににぎわいを」という理念の下、多機能型スタジアムの必要性を相模原市に提起。以降、市との意見交換を継続。 SC相模原 |
2018年 | “ホームタウン4チーム”が結束 | サッカー SC相模原/女子サッカー ノジマステラ/ラグビー 三菱重工ダイナボアーズ/アメフト ノジマライズの4クラブが連携し、新スタジアム推進活動を開始。 SC相模原 |
2020年1月25日 | J2ライセンス申請を表明 | SC相模原がJ2ライセンス取得を目指すと発表。ギオンスタは基準未達のため、Jリーグの「5年以内に新設」例外規定の活用を前提に。 相模原町田経済新聞 |
2020年9月28日 | 初のJ2ライセンス取得 | Jリーグが2021シーズンライセンス判定を公表。相模原は例外規定(5年以内に新スタジアム供用)でJ2ライセンスを取得。屋根不足などは制裁対象。 相模原町田経済新聞 |
2021年2月12日 | 10万4,201筆の署名提出 | 4チームが連名で、米陸軍 相模総合補給廠一部返還地(JR相模原駅北口)に多機能複合スタジアムを整備する要望書と署名を本村市長に提出。 ノジマステラ神奈川相模原 公式サイト |
2021シーズン | J2昇格→J3降格 | SC相模原はJ2に昇格するも同年降格。スタジアム基準問題は継続。※ライセンスはJ2を保持。 |
2023年10月24日 | 例外規定の期限延長 | コロナ影響を考慮し、Jリーグが「具体的なスタジアム計画提出期限」を2025年6月末へ延長。提出できなければJ2ライセンス失効の可能性。 相模原町田経済新聞 |
2024年8–10月 | 民間提案募集へ応募 | 相模原市が北口返還地の土地利用を民間公募。4クラブ等のコンソーシアムがスタジアム+商業・業務・住宅を核とする高密度開発案を提出し、プレゼンを実施。 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. |
2025年2月19日 | 市長表敬も計画言及なし | シーズン開幕前にSC相模原が本村市長を訪問。市は3月公表予定の土地利用骨子を準備中と説明するのみで、スタジアム案の可否は語られず。 タウンニュース |
2025年5月19日 | 市の「土地利用計画骨子」公表 | 相模原市は北口15 haの骨子を公表。業務・商業・住宅を中心とし、スタジアムは計画に盛り込まず。 相模原町田経済新聞 |
2025年5月26日 | “幻のスタジアム案”を公開 | 採択されなかったコンソーシアム案(2.5万人規模の屋根付き多目的スタジアム等)を4クラブが自主公表。「6月末のJリーグ提出期限までに同等規模の計画を再構築する」と声明。 SC相模原47NEWS |
2025年6月末※ | <Jリーグ提出期限> | 期限までに着工時期・資金計画・完成後15,000人超の収容を保証する新スタジアム計画をJリーグへ提出できなければ、相模原はJ2ライセンスを失い、J3専用ライセンスに移行するリスク。 Jリーグについて |
現行スタジアム(相模原ギオンスタジアム)の主な不足項目
- 収容 6,291人 → J2基準10,000人、J1基準15,000人に未達
- バックスタンド屋根、ゴール裏観客席、トイレ数などB等級基準の不足
- 照明・大型映像装置は改修済みだが、J1想定では視界・VIP諸室が不足 ハムイチのSAGAMIHARAブログ
争点と今後の焦点
- 市の優先順位
北口返還地は「業務・商業」中心方針を示し、スタジアムは外された。市は費用負担や採算性、交通対策を課題視。 - Jリーグの締切と制裁
2025年6月末までに「着工前提の具体計画」がない場合、相模原はJ2復帰の権利を失う可能性が高い。 - 代替シナリオ
- ギオンスタジアム大改修でJ2基準を充足(屋根・座席増設)
- 返還地外への新設(民設民営/市と第三セクター型など)
- 資金調達
コンソーシアム案は寄付・ふるさと納税・補助金を組み合わせ、市への寄付後に指定管理で運営するスキームを提示したが、代替地で同方式が成立するかは不透明。 SC相模原
まとめ
- 2014年の構想開始から11年を経ても具体的な着工には至らず、市の土地利用方針とクラブのライセンス要件がねじれたまま。
- 残り猶予は1か月(2025年6月末)。スタジアムを含む新計画を市外や民間地主とまとめる、あるいはギオンスタ改修案を具体化するなど、クラブは“最終回答”を迫られている。
- 今後1年がJ2復帰の可否だけでなく、相模原のプロスポーツ拠点づくりの帰趨を決定づけると見られる。
問題意識
民設民営は当然として、J3が言うな、J2が言うな、もっと強くなってからスタジアムを公費で要求しろ!という意見もあります。強さはスポーツにとって大事なことですが、スタジアム問題に取ってはなんの関係もありません。プロスポーツは強くても弱くても、税金に頼らず、自社と親会社の広告で運用すべきです。
強くても弱くても利益が出せないのなら、プロをやめてアマチュアスポーツとして楽しめばよいだけの話です。