沖縄で社会保険労務士が関与してキャリアップ助成金を不正受給

厚生労働省

沖縄労働局は、那覇市に支社を持つ社会保険労務士法人の代表が、虚偽の申請書類を作成してキャリアアップ助成金を不正受給したと発表しました。不正受給額は114万円です。この助成金は非正規雇用労働者の処遇改善を目的としており、社労士が申請代行者として関与した書類に虚偽が含まれていました。これは県内で初めての社労士による同種助成金の不正受給関与です。

悪質性が認められるため、事業主と社労士は連帯債務者となり、返還請求の対象となります。また、罰則として今後5年間は助成金申請業務を請け負うことができません。労働局は他の助成金についても不正がないか調査を進めています。

キャリアアップ助成金について

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の待遇改善を支援するための国の制度です。主な特徴は以下の通りです:

  • 非正規社員を正社員に転換するなど、処遇を改善した事業者に支払われます
  • 1人あたり最大72万円、1事業所あたり年間20人まで申請可能です
  • 正社員化や昇給、賞与・退職金制度の創設など、7種類の処遇改善が対象となっています

不正受給の問題

キャリアアップ助成金の不正受給は、この沖縄の事例に限らず全国的な問題となっています:

  • 会計検査院の調査によると、社会保険労務士や弁護士らによる代理申請で、少なくとも約20件の不正受給が確認されました
  • 不正受給の総額は数千万円に上るとされています
  • 採用当初からの正社員を非正規から転換したように書類を偽造するなど、社労士が不正に関与するケースが相次いでいます

対策と注意点

キャリアアップ助成金の適正な利用のために、以下の点に注意が必要です:

  • 申請時点でのミスは後から修正できないため、慎重な申請が求められます
  • 受給までに1年ほどかかる場合があります
  • 制度の変更内容に常に注意を払う必要があります

この沖縄の事例は、キャリアアップ助成金制度の重要性と同時に、その適正な運用の難しさを示しています。社会保険労務士など専門家の関与が不正につながる可能性があることから、事業主自身も制度への理解を深め、適切な申請を心がけることが重要です。

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