エッグフォワード株式会社と「リスキリング助成金」不正受給

エッグフォワード株式会社 厚生労働省
エッグフォワード株式会社

2025年末、厚生労働省の各労働局が相次いで公表したのが、人材開発支援助成金をめぐる不正受給事案です。なかでも注目を集めたのが、訓練実施者(研修提供側)として「エッグフォワード株式会社」が“不正受給に関与した”と労働局が公表した点でした。

本記事では、労働局の公表資料(一次情報)と、同社の公表文書を軸に、何が起きたのか・どこが問題とされたのかを、実務目線で整理します。

1. 何が起きたのか(結論から)

労働局が公表した概要は、非常にシンプルです。

  • 人材開発支援助成金は、企業(事業主)が訓練経費を“全額負担”していることを前提に、経費の一部が助成される制度
  • ところが対象事案では、訓練委託元企業(申請する企業)が、訓練委託先(エッグフォワード社)から資金提供を受け、その資金を訓練費の支払い原資にしていたため、実質的に「全額負担」していないのに申請した──とされています
  • さらに労働局は、エッグフォワード社が“不正のスキームを考案し、訓練委託元企業に提案するなど関与していた”と明記しています

要するに、帳簿上は企業が研修費を払っているように見えても、お金の出どころ(最終負担者)が企業ではないと判断されると、制度要件を満たさず「不正受給」認定になり得る、という構図です。

2. 「どの助成金/どのコース」だったのか(ここは混同注意)

世間では「リスキリング助成金」と総称されがちですが、労働局資料で明記されているのは、

  • 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
  • とくに 定額制訓練(サブスクリプション型研修)

という整理です。

3. いつ、誰が、どう公表したのか(時系列)

2025年12月19日:各労働局が一斉に公表

例として、主要な一次資料は以下の通りです。

  • 東京労働局(2025年12月19日):エッグフォワード社について「不正受給に関与した訓練実施者」として公表し、スキーム概要も説明
  • 埼玉労働局(同日):管内12社に係る不正受給への関与、不正受給額 141,768,000円 等を掲載(加えて「未然防止」案件も記載)
  • 大阪労働局(同日):管内9社に係る不正受給への関与、不正受給額 85,952,000円 等を掲載(こちらも「未然防止」記載あり)

2025年12月30日:エッグフォワード社が「ご報告」を公表

同社は、2025年12月19日付で労働局から不正受給認定の発表があったこと、関係者への謝罪、当局指摘への対応方針などを記載した文書を公表しています。

4. 問題の“キモ”はどこか:労働局が問題視した「資金提供スキーム」

労働局公表の文章を、実務言語に直すとこうです。

  • 助成金は「訓練費の一部補助」だが、前提として 事業主が訓練経費を負担していることが要件
  • 申請企業が、訓練実施者からの資金提供を受け、それを原資に研修費を支払うと、“実質負担”がゼロ(または大きく減る)
  • その状態で助成申請すると、要件を満たさない申請=不正受給と判断され得る

ポイントは「研修が実施されたか」だけでなく、キャッシュフロー(誰が最終的に負担したか)が見られている、という点です。

5. 金額・社数はどれくらいの規模だったのか

一次資料(労働局公表)で確認できる範囲でも、地域ごとにまとまった規模が出ています(上記の埼玉12社・大阪9社など)。

さらに、ニュース・報告会ベースの整理として、全国で178社、総額約19.4億円の返還命令といった情報も流通しています(※これは労働局の単一公表PDFに“一括記載”されている数字というより、各地の事案を集約した説明・報道として示されているものです)。

6. 企業側に何が起きるのか(実務インパクト)

今回の労働局公表は「訓練実施者の公表」ですが、実務上は申請企業側も、

  • 支給決定の取消
  • 返還請求(追徴・延滞等を含む運用)
  • 社名公表リスク(運用・期限設定の情報も報じられています)

といった問題に直面し得ます。

7. 「明日からできる」再発防止チェック

研修・助成金で“危険信号”になりやすいワード

  • 「実質無料」「持ち出しゼロ」「キャッシュバック」「協力金が出る」
  • 「申請は全部丸投げでOK(支払いフローも指定)」
  • 「研修費は一度払うが、後で別名目で戻る」

契約・請求・入出金で必ず見るべきポイント

  • 研修費の支払い原資が、研修提供側(または代理店側)からの資金提供になっていないか
  • 研修とは別名目(広告費・業務委託費・協力金など)の入金が、研修費と“紐づく”形で発生していないか
  • 取引先(研修会社・代理店)から「資金を出す/立て替える」提案がないか

まとめ

この件は、単なる「助成金申請ミス」ではなく、労働局が“資金循環スキーム”を不正と認定し、訓練実施者の関与まで踏み込んで公表した点が本質です。
そして、同社も労働局発表があったことを認めた文書を出しています。

エッグフォワード株式会社とは

以下は エッグフォワード株式会社(Egg FORWARD, Inc.) について、企業概要・事業内容・実態・不正受給問題の背景を整理した詳細解説です(日本語)。

会社概要:基本情報

エッグフォワード株式会社(Egg FORWARD, Inc.)

  • 法人番号: 6010401101282(登記上の法人番号)
  • 所在地: 東京都渋谷区道玄坂1丁目10-8 渋谷道玄坂東急ビル6階
  • 代表者: 代表取締役社長 徳谷 智史(とくたに ともふみ)
  • 設立: 2012年8月8日
  • 従業員数: 約80名(公開求人・採用情報ベース)
  • 資本金: 約1,000万円(採用情報サイトベース)

この企業は 東京・渋谷を拠点 に、人材開発・組織変革コンサルティングやプラットフォーム事業、スタートアップ支援などを手がける 経営支援系のコンサルティング会社 です。

事業内容:中核サービスと領域

① 戦略・組織・人材コンサルティング

企業の事業戦略・組織改革・人材戦略までを一気通貫で支援する部門です。経営陣のビジョン策定から人材育成設計まで含むことが特徴とされています。

② 人材育成・開発事業(研修・教育プログラム)

法人向けの 研修・育成プログラム を提供。DX(デジタルトランスフォーメーション)やマネジメントスキルといった人材育成コンテンツを扱います。

③ スタートアップ支援(VC・共創エコシステム)

同社は スタートアップ支援部門 を持ち、投資・共創プログラムも運営しています。たとえば GOLDEN EGG Ventures というファンド設立実績もあり、スタートアップへの投資とハンズオン支援を行っています。

④ プラットフォーム・イノベーション

人材育成・組織変革のノウハウをデジタルプラットフォームで展開する事業も進めています。プラットフォーム名としては「デジぴよ」などを運営し、企業内研修コンテンツの提供をしています。

企業ミッションとカルチャー

同社は自社サイトや採用情報で、次のようなミッションや価値観を掲げています:

「人を変え、組織を変え、世の中を前進させる」 という企業ミッション
未来のターニングポイントを創出する というビジョン

こうした企業文化は、経営コンサル寄りの大手クライアント支援から、スタートアップ創出支援まで横断するポジションを志向するものです。

代表者:徳谷 智史について

代表の 徳谷 智史氏 は京都大学卒業後、大手戦略コンサルティングファーム勤務を経てエッグフォワードを創業しています。
経営者向けの著書(例:「経営中毒」「キャリアづくりの教科書」)や、ビジネススクール・Schooなどでの講師活動など多方面で知られる人物です。

代表者のバックグラウンドには、企業変革支援の現場経験と、キャリア形成・パーソナルブランディング支援 の要素が強くあります。

事業評価・実態について(一般情報)

エッグフォワードは、外部評価サイトや採用情報で 「コンサルティング」「人材育成」「組織改革支援」 として位置づけられています。ただし、助成金との絡みなどで 外部有識者から批判的な論調 も出ています(後述)。

不正受給問題の背景(世間的評価・批判)

エッグフォワードは、2025年12月19日に全国の複数労働局により、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)における不正受給に関与した訓練実施者として社名公表 されました。

この公表では、労働局が スキームを考案し訓練委託元企業に提案するなど関与した と指摘しています。

報道や業界分析では、

  • 代理店に丸投げしただけではなく、スキーム全体の設計・価値提供モデルに問題がある
  • 「実質負担ゼロ」「持ち出しなしで利益が出る」といった表現で販売した

と批判される論調もあります。

この問題は、助成金制度の本来要件と資金の流れの整合性が問われる案件であり、エッグフォワードの事業提供モデルに大きな影を落としています(詳細は別途解説が可能です)。

まとめ:企業の位置づけと現時点の評価

エッグフォワード株式会社 は、企業・人材の変革支援に特化したコンサルティング会社として成長してきた一方で、2025年末にリスクの高い助成金運用スキームの関与を指摘され 社会的評価が揺らいでいる企業 でもあります。

企業自体の事業領域は広く、コンサルティングやプラットフォーム事業、スタートアップ支援など多角的ですが、助成金問題は同社のビジネスモデルの一部にまで影響を及ぼしています

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