事業承継・引継ぎ補助金の闇:巧妙化する不正受給と「悪徳コンサルタント」の実態

M&Aコンサルタントはだいたい不正を働いている M&A

中小企業の経営者の高齢化に伴い、国が力を入れている「事業承継・引継ぎ補助金」。最大で数百万〜数千万円規模の支援が受けられるこの制度は、多くの経営者にとっての救いとなる一方、多額の公金を狙った「悪徳コンサルタント」の格好の標的となっています。

本記事では、実際に起きている不正事件の手口や、摘発された事例、そして経営者が騙されないための防衛策を詳しく解説します。

1. 事業承継補助金をめぐる不正の構図

補助金の不正受給は、単なる「書類のミス」ではなく、組織的な「詐欺罪」に該当する重罪です。事業承継補助金において特によく見られる不正の構図は以下の通りです。

① 虚偽の事業実態(名義貸し)

事業承継の形だけを整え、実際には事業を行っていないペーパーカンパニーや、親族間での形式的な株式譲渡を「第三者への承継」と偽って申請する手口です。

② 経費の水増し・キックバック

コンサルタントや設備業者と結託し、実際よりも高い見積書を作成。交付された補助金の一部を「紹介料」や「手数料」としてコンサルタントにキャッシュバックするスキームです。

③ 実績報告の捏造

補助金の受給後に義務付けられている「事業実施報告」において、架空の領収書や偽造された契約書を提出し、実態のない経費を精算します。

2. 実際に起きた不正事件・摘発事例

近年、経済産業省や中小企業庁は調査を厳格化しており、過去の申請に遡っての摘発が相次いでいます。

事例A:IT導入・事業再構築補助金との併用不正

事業承継をきっかけに多額のIT設備を導入したように見せかけ、IT導入補助金と二重に受給しようとしたケース。裏で糸を引いていたのは「補助金申請特化型」を謳うコンサルティング会社でした。

事例B:無資格コンサルタントによる「書類偽造」

行政書士資格を持たないコンサルタントが、経営者に無断で決算書や売買契約書を改ざん。後日の抜き打ち調査で発覚し、経営者は「知らなかった」と主張したものの、受給した補助金の返還に加え、20%の加算金と延滞金の支払いを命じられました。

3. 悪徳コンサルタントの「甘い言葉」と特徴

不正に加担させる、あるいは事業者を食い物にするコンサルタントには共通のサインがあります。

  • 「実質自己負担ゼロ」を強調する 補助金はあくまで「後払い」であり、一定の自己負担が必ず発生します。「手出しなしで儲かる」という提案は、ほぼ間違いなく不正なスキームを含んでいます。
  • 「成功報酬100%」を謳い、着手金がない 一見良心的ですが、強引に採択させるために書類の改ざんを厭わない傾向があります。
  • 特定の業者との契約を強要する 「この業者から設備を買わないと補助金が通らない」といった抱き合わせ販売は、経費水増しの温床です。

4. 不正が発覚した際の恐ろしいペナルティ

「みんなやっている」「バレなければ大丈夫」というコンサルタントの言葉を信じてはいけません。発覚した場合、事業者には壊滅的な打撃が与えられます。

  1. 補助金の全額返還(+加算金・延滞金) 受け取った金額以上に、年率10.95%程度の加算金等が上乗せされます。
  2. 事業者名の公表 中小企業庁の公式サイトに「不正受給者」として実名と所在地が永久に掲載され、企業の社会的信用は失墜します。
  3. 刑事罰(詐欺罪) 悪質な場合は警察に刑事告発され、10年以下の懲役(詐欺罪)に処される可能性があります。
  4. 融資の停止 金融機関のブラックリストに載り、今後の運転資金の融資などが一切受けられなくなります。

5. 経営者が身を守るためのチェックリスト

信頼できる専門家を見極めるために、以下の点を確認してください。

  • コンサルタントは「認定経営革新等支援機関」に登録されているか?
    • ただし認定支援機関に登録されていても不正を働く事例は散見される
  • 申請書類のコピー(控え)を必ず本人に共有してくれるか?
  • 契約書に「不正が発覚した場合の責任」が明記されているか?
  • 提案内容が公募要領(ルール)に合致しているか、自身で一次情報を確認したか?

結論

事業承継は、会社にとって一生に一度の重要な局面です。そのための公的な支援を、一部の不道徳なコンサルタントによって汚されてはいけません。補助金は「もらえるお金」ではなく「国民の税金から預かる支援」であることを忘れず、正当な手段で事業の未来を切り拓きましょう。

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