福祉団体が研修会を受けたことにして助成金を不正受給

厚生労働省

東京都内の障害者支援を行う任意の福祉団体が、実際には実施していないオンライン研修会を名目に東京都の補助金を不正受給した疑いがあるとして、「東京・市民オンブズマン」が補助金の返還を求める住民訴訟を提起した。2026年1月21日に東京地裁で第1回口頭弁論が行われた。

問題の団体は、2022~2023年にかけて大学教授を講師とするオンライン研修会を実施したとして、謝礼金名目で計6万円の補助金を受給していたが、講師本人が「実施の覚えがない」と申し出たことで不正が発覚。この6万円については、都社会福祉協議会が交付を取り消し、すでに返還されている。

さらに同団体は、別のオンライン研修会3回分として計15万円の補助金も受給していたが、実施を裏付ける証拠が示されていない。市民オンブズマンは住民監査請求を行ったものの、東京都は「監査請求期限(1年)を過ぎている」などとして監査を実施せず、これを受けて住民訴訟に踏み切った。

原告側は、補助金を仲介する団体と受給団体との人的な癒着や忖度の可能性にも言及し、不透明な公金支出は「氷山の一角」だと指摘。金額は少額でも、公金を不正に受給していれば詐欺的行為であり、福祉を名目にしている点は極めて問題が大きいと批判している。

裁判は今後、半年から1年程度続く見通しで、研修会の実体がどこまで司法の場で審理されるかが争点となる。なお、当該団体からの公式なコメントは現時点で得られていない。

事件の概要:東京都精神保健福祉士協会への補助金疑惑

この事件は、東京都内のある福祉団体が、実施実態のない研修会に対して都の補助金を受給した疑いがあるとして、市民団体「東京・市民オンブズマン」が提訴したものです。

1. 疑惑の核心

  • 対象団体: 一般社団法人 東京都精神保健福祉士協会(と見られています)。
  • 問題の経費: 精神保健福祉に関する「研修会」の開催費用として申請された約15万円
  • 主張の内容: 実際には研修会が開催された実態がない(実体のない事業)、あるいは補助金要件を満たしていないにもかかわらず、公金が支出されたという点です。

2. なぜ「15万円」で訴訟になったのか?

弁護士らが会見で「金額はわずかだが」と強調している通り、通常、住民訴訟で扱うには少額です。しかし、以下の理由から提訴に踏み切っています。

今後の注目ポイント

  1. 実態の有無の証明: 裁判において、団体側が「実際に研修が行われた証拠(資料、名簿、写真など)」を提示できるかどうかが焦点になります。
  2. 東京都の対応: 補助金を放出した東京都側が、どのように事実確認を行ったのか、事後の監査体制に不備がなかったかが問われます。
  3. 福祉業界への影響: 専門職団体による不正が認定されれば、同種の団体に対する補助金審査が今後非常に厳格化される可能性があります。

AIの視点: > 15万円という金額は、行政の予算規模からすれば「微々たるもの」に見えるかもしれません。しかし、こうした「小さな綻び」を放置することが、結果として大きな汚職や公金の私物化につながるという、オンブズマンらしい強い正義感を感じる事件です。

東京都精神保健福祉士協会とは

東京都精神保健福祉士協会(以下、東京PSW協会)は、東京都内で活動する精神保健福祉士(PSW)という国家資格を持つ専門職が集まる職能団体です。

精神保健福祉士とは、精神障害を持つ方やその家族の生活支援、社会復帰のサポートを行う専門家です。この協会は、そうしたプロたちが互いに研鑽を積み、東京の精神保健福祉を向上させることを目的に活動しています。


1. 主な活動内容

協会は、単なる親睦会ではなく、以下のような専門的な活動を多岐にわたって行っています。

  • 研修会の開催: 会員の技術向上のためのセミナーや実践報告会を実施しています。今回ニュースになった「15万円の補助金」も、こうした研修活動の一環として申請されたものでした。
  • 行政への働きかけ: 東京都の精神保健福祉政策に対して、現場の視点から意見を出したり、検討会に委員を派遣したりしています。
  • 委員会活動: 「災害支援」「権利擁護」「子ども家庭(スクールソーシャルワーク)」「司法福祉」など、分野ごとに専門の委員会を設けて、独自の調査や支援活動を行っています。
  • 広報・啓発活動: 都民に向けて精神疾患や福祉への理解を深めるための情報発信や、機関誌『東京PSW研究』の発行を行っています。

2. 組織の性格と背景

  • 設立の経緯: 1960年代の自主的な研究会から始まり、1992年に日本精神保健福祉士協会の東京都支部として設立。2000年に現在の名称になりました。
  • 法人格: 現在は「一般社団法人」として運営されています。
  • 会員構成: 主に都内の病院、保健所、福祉施設、学校などで働く精神保健福祉士たちが個人として加入しています。

3. 社会的役割と今回の問題の重要性

この協会は、いわば「心のケアと生活支援のプロ集団」です。そのため、高い倫理観が求められます。

なぜ今回の「15万円」が問題視されているのか?

本来、この協会は「精神障害者の権利を守る」立場にあります。その公的な信頼があるからこそ、行政(東京都)から補助金が交付されます。

今回の住民訴訟は、「専門家を守る立場の団体が、実体のない研修を理由に公金を受け取ったのであれば、それはプロとしての倫理に反するのではないか」という点が厳しく問われているのです。

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