雇用調整助成金の不正受給公表 1,620件 公表企業の倒産は92件、倒産発生率は5.6%

■ 雇用調整助成金 不正受給の現状(第11回調査)
- 不正受給の累計件数:2020年4月~2025年2月28日までに1,620件
- 不正受給の総額:約530億円(1件あたり平均:約3,271万円)
- 2024年の件数:625件(前年より67件減)
- 2025年の状況:
- 1月:35件(3か月ぶりに40件未満)
- 2月:40件(前年平均を下回る)
■ 重大事例
- アルカディア株式会社(福岡県)
- 不正受給額:約10億1,896万円(歴代3位)
- 元社長ら8人が詐欺容疑で逮捕
- 2025年2月25日、事業停止・破産準備
- 結婚式予定カップルに大混乱
■ 倒産と影響
- 不正受給企業の倒産件数:92件
- 倒産率:約5.6%
- 不正の公表や返還義務による信用失墜が原因
■ 背景と課題
- コロナ禍における特例措置により、手続きが簡素化 → それを悪用した不正が多数発覚。
- 今後も追及の継続が必要。企業の法令順守(コンプライアンス)と信用管理の重要性が問われている。
■ 雇用調整助成金 不正受給の地域別分布(2025年2月時点)
◆ 地区別件数(累計1,620件中)
- 最多:関東(610件)(全体の約37.6%)
- 中部:354件
- 近畿:263件
- 九州:126件
- 中国:101件
- 東北:76件(前回比+10.1%で最も増加)
- 四国:48件
- 北陸:25件(2025年の新規公表はなし)
- 北海道:17件
◆ 都道府県別件数(上位)
- 1位:愛知県(255件)※唯一200件超
- 2位:東京都(199件)
- 3位:大阪府(169件)
- 4位:神奈川県(131件)
※上記4都府県が「100件超」
◆ その他の主な県
- 千葉:77件
- 福岡:61件
- 広島:60件
- 栃木:58件
- 埼玉:49件
- 三重:41件
- 宮城:40件
- 京都:37件
- 群馬:32件
- 新潟:31件
- 茨城:28件
- 愛媛:27件
■ 雇用調整助成金の不正受給 産業・業種別の分析
◆ 対象:
- TSRデータベースで確認可能な1,233社(法人・個人事業含む)
◆ 産業別内訳(上位)
産業 | 件数 | 構成比 |
---|---|---|
サービス業他 | 566社 | 45.9%(最多) |
建設業 | 160社 | 12.9% |
製造業 | 138社 | 11.1% |
運輸業 | 86社 | 6.9% |
小売業 | 81社 | 6.5% |
卸売業 | 79社 | 6.4% |
◆ 業種別内訳(上位)
業種 | 件数 | 構成比 |
---|---|---|
飲食業 | 172社 | 13.9%(最多) |
建設業 | 152社 | ― |
他のサービス業(人材派遣・業務請負など) | 122社 | ― |
生活関連・娯楽業(旅行業、美容業など) | 97社 | ― |
運輸業/学術・専門サービス業(経営コンサル等) | 各86社 | ― |
情報サービス業 | 56社 | ― |
不動産業 | 42社 | ― |
医療・福祉 | 36社 | ― |
宿泊業 | 34社 | ― |
■ 倒産状況と影響
- 倒産件数:92件(全体の5.6%)
- 一般企業の倒産率(0.19%)と比較して極めて高い
- 92件中56件(60.8%)は公表当日またはその後に倒産
- 多くが経営困難状態で、不正発覚後に事業継続断念
■ 制度の問題と今後の課題
- コロナ禍の特例措置の簡素化が不正の温床に
- 2024年末時点での遡及調査による不正発覚件数:3,874件
- 支給決定取消額:約909億6,000万円
※助成金の財源は事業主の雇用保険料で構成される「雇用安定資金」
⇒ 制度の信頼性・公平性を揺るがす行為として重視されている
■ 今後の注目点
- 不正受給企業の信用失墜と資金繰り悪化により、事業停止・倒産が増える可能性
- ステークホルダー(取引先・従業員・顧客)への影響も大きく、公表動向に引き続き注意が必要
