Jリーグ関係者 「上限1万人というのは、あまりにも志が低い」 ブラウブリッツ秋田スタジアム事変

秋田ブラウブリッツの志 税リーグ

秋田市八橋地区で計画されている新スタジアムについて、Jリーグは最低でも1万5,000人規模が必要だと主張し、最大1万人規模を想定する秋田市の検討姿勢を「志が低い」と強く批判していることが、非公開協議の議事録から明らかになった。

市はJ2以上の参加資格を満たすため、5,000~1万人規模で検討してきたが、Jリーグ側は「小規模容認は例外であり、1万5,000人基準を撤廃したわけではない」と“本音”を表明。将来のクラブ成長や地域活性化を理由に、1万5,000人規模を前提にすべきと求めた。

一方、資金確保や敷地条件についてJリーグは具体策を示さず、同席したブラウブリッツ秋田は国の補助金を軸にした公設・公費主体が不可欠との認識を示した。今後、県・市・クラブの協議で、Jリーグの意向をどこまで計画に反映できるかが焦点となる。

秋田市の八橋地区で整備が計画されている新たなスタジアムについて、Jリーグ側が、少なくとも1万5,000人規模の施設が必要だと主張していることがわかりました。

最大で1万人規模を想定して事業費などを試算した秋田市には、「あまりにも志が低い」と指摘するなど、市の検討状況に不満を示していたことも明らかになりました。

秋田放送は去年11月に行われた秋田市とJリーグとの非公開協議の議事録を市への情報開示請求で入手しました。

Jリーグ関係者
「この後、何をどう検討されるかが全く分からない」
Jリーグ関係者
「地方のクラブでもJ1に上がった平均は1万人。そこにも届かないスタジアムをイニシャルコストだけを理由につくるのは、合理的なようで、全然合理的じゃない」

Jリーグ関係者の厳しい指摘が目立ったこの協議は、秋田市が、整備の検討状況をリーグ側に報告するためのもの。

市は施設の配置図なども示して説明に努めましたが、Jリーグ側にとっては満足のいく形ではなかったようです。

Jリーグ関係者
「理想のスタジアムというよりは、とりあえず入れてみたというだけにしか見えない。このスタジアムで秋田の誇れるスタジアムとして本当にこれで良いのかと感じる」

この日の協議の大きな焦点は、施設の収容人数についてでした。

秋田市は、最小で5,000人、最大で1万人規模の施設整備を想定していますが、これは、ブラウブリッツ秋田がJ2以上でプレーする参加資格を得るための条件に、一定規模の施設整備が含まれているからです。

Jリーグは、特にJ1でプレーする場合には、原則として1万5,000人以上が収容できる施設を求めていますが、クラブが本拠地を置く都市の人口規模によっては5,000人程度でも容認する方針を示しています。

市もこの方針を踏まえて検討を続けてきましたが、Jリーグ側は協議の中で、“本音”を明かしていました。

Jリーグ関係者
「上限1万人というのは、あまりにも志が低い」
「少し小さくてもJ1基準を認めるというルールにはしているが、別に1万5,000人ルールを取っ払ったわけではない」
「少なくとも1万5,000人ができるようにしておかないといけない」

クラブの今後の成長や地域活性化の観点から、1万5,000人規模の施設が望ましいと主張したJリーグ側。

しかし資金をどう確保するかや、敷地内にどう施設を建設するかは、明言しませんでした。

同席していたブラウブリッツ秋田は、国の補助金を柱とした公費負担が欠かせないとの認識を示しています。

BB役員
「公設が絶対。行政が主体で進めていかないと話が進まない感覚がある」
BB役員
「我々も税金を使ってお願いすることは明確。“稼ぐスタジアム”はどうやったら稼げるのかなど議論したいが現実的な部分をどう進めていくかというところもある」

先月再開した、県・秋田市・ブラウブリッツ秋田による整備のあり方をめぐる協議は今月再び開かれる予定で、Jリーグ側の“様々な意向”をどれだけ整備計画に反映するかも焦点となりそうです。

【独自】秋田市の新スタジアム Jリーグ側が「少なくとも1万5,000人規模の施設が必要」と主張 議事録の情報開示請求で明らかに 秋田(2026年1月6日掲載)|ABS NEWS NNN
秋田市の八橋地区で整備が計画されている新たなスタジアムについて、Jリーグ側が、少なくとも1万5,000人規模の施設が必要だと主張していることがわかりました。

秋田市新スタジアム整備に関する三者協議 議事録

基本情報

会議名: 秋田市新スタジアム整備に関する三者(Jリーグ、秋田市、ブラウブリッツ秋田)協議
   Jリーグ側出席者
   秋田市側出席者
   株式会社ブラウブリッツ秋田側出席者

1. 議題

本協議は、秋田市における新スタジアム整備計画の基本方針を固める上で極めて重要な意味を持つものである。秋田市およびブラウブリッツ秋田から提示された資料に基づき、Jリーグ側の専門的知見を聴取し、今後の計画推進における判断材料とすることを主目的として開催された。

本会議の主要な目的は以下の通りである。

• 秋田市側が提示した新設案および改修案に関する資料に対し、Jリーグとしての公式な見解を得ること。

2. 協議内容

2.1. 新設案と改修案の比較検討

協議の冒頭、スタジアム整備における最も根幹的な選択肢である「新設」と「改修」について、コスト、実現性、そして市民理解といった多角的な観点から議論が行われた。

議論の要点は以下の通りである。

• 改修案の費用感 改修費用の見積額は、屋根が特殊構造であり、実情に応じた積算(実情に応じて積算)が必要なため、中間報告の期限までに確定的な金額を提示することが困難であったことから、今回は提示が見送られた。しかし、改修は新設と比較して大幅なコスト削減(例:7割程度の費用)に繋がるものではなく、両者の費用に大差は生じない可能性があるとの見解が示された。

• 改修の物理的範囲 改修案は、既存施設の大部分を取り壊し、主要構造物であるメインスタンドの一部のみを残す計画であり、実態としては「ほぼ新築のようなもの」であることが確認された。

• 改修案を検討する背景 スポーツに関心の薄い市民層も存在する中、既存スタジアムに隣接して新施設を建設することへの理解を得ることは容易ではない。そのため、既存施設を活用する「改修」という選択肢を検討するプロセスそのものが、市民への説明責任を果たす上で重要であるとの意見が出された。

• 秋田市の基本姿勢 秋田市長の方針として、「Jリーグが定めるスタジアム基準を完全に満たすこと」を大前提とした上で、「新設案よりも早く、かつ安価に実現できるのであれば、改修案を優先的に検討する」という基本姿勢が明確に示された。

新設と改修の比較検討は、単なるコストや工期の問題に留まらず、Jリーグが定める基準をいかにして満たすかという、より専門的かつ具体的な議論へと繋がっていった。

2.2. Jリーグが定めるスタジアム基準に関する見解

続いて、Jリーグがスタジアムに求める基準について、その本質的な意義に関する議論が行われた。Jリーグ側は、スタジアム基準が単なる施設のスペック要件ではなく、プロスポーツ事業の根幹を支えるための最低限の要件(ボトムライン)であるという基本姿勢を強調した。

Jリーグの見解および市・クラブ側からの要請は以下の通りである。

• Jリーグの懸念 「基準にギリギリ引っかかるかもしれないから認める」といった安易な解釈や妥協に基づき計画を推進することに対し、Jリーグ側から強い懸念が表明された。基準は事業の持続可能性を担保するための最低ラインであり、その遵守が絶対条件であることが改めて確認された。

• 市・クラブ側からの要請 市およびクラブ側からは、提示した計画案に対してJリーグの明確な評価を求める強い要請があった。特に、「ここまで一生懸命作っても、スタジアム基準を満足していませんと言っていただいても構わない。脳であれば脳と言ってほしい」(脳であれば脳と言ってほしい)との発言があり、Jリーグの評価を計画推進における極めて重要な判断材料と位置付けていることが示された。

スタジアムのスペックに関する議論を経て、それを「誰が、いつ、どのように」建設・所有するのかという事業スキームの具体化が、次の重要な論点として浮上した。

2.3. 事業主体に関する議論

スタジアム建設の実現性を左右する「事業主体」を誰にするかという問題について、新設・改修の各シナリオにおける複雑な利害関係とそれに伴う課題が議論された。

各シナリオにおける議論の要点は以下の通りである。

• 改修の場合 事業主体は、既存施設の所有者である秋田市とならざるを得ない、という点で認識が一致した。

• 新設の場合 市が既存スタジアムと新スタジアムの2つを保有することの合理性が問われた。また、新設の場合は秋田県に事業主体となるよう要請する可能性も示唆された。

• 懸念される事態 市も県も主体とならない場合、事業が民間主導となる可能性が指摘された。その場合、行政の強力なコミットメントが得られにくく、公的補助金を受けられないことによる資金調達の困難化や、目標スケジュール遵守の強制力が働かないといった複合的なリスクが共有された。

• 行政主導の必要性 市の厳しい財政状況や、今後予定されている公共施設の統廃合計画にも触れられた上で、最終的には行政(市または県)が主体となって本プロジェクトを推進しなければ、計画が具体的に進展しないという共通認識が形成された。

事業主体の問題は、プロジェクトの推進力だけでなく、最終的な費用負担と資金調達という、より具体的な計画に直結する課題であることが明確になった。

2.4. 費用負担と資金調達計画

プロジェクトの実現可能性を測る上で最も重要な要素である費用負担と資金調達について、市の財政状況を背景とした具体的な議論が行われた。

資金計画に関する議論の要点は以下の通りである。

• 市の費用負担能力 秋田市としては、市が負担可能な上限額を内部で検討するまでは、具体的な方針を示せないとの立場が表明された。一方で、提示されている事業費(178億円)については「金額として厳しい」という認識が示された。

• 国からの交付金 広島市の事例を参考に「第2世代交付金」および「防災・安全交付金」の活用を想定しており、事業費全体の40%以上を賄える見込みである。ただし、最終的な交付額(内示率)を現時点で正確に見込むことは困難であり、計画には一定の財政的不確実性が伴う点が指摘された。なお、国の交付金との併用ができないため、最大30億円を助成する東京都の制度(都の助成金30億円)の活用は困難との見解が共有された。

• 残事業費の調達 交付金で賄えない残りの事業費については、地方債(起債)や市の一般財源を活用する必要があることが確認された。

• 公設であることの重要性 スタジアムを民設とした場合、公園内の施設利用料金設定などの運営上の問題や、国からの補助金交付の対象外となるリスクが指摘された。市の財政負担を軽減するためにも、公設(行政による設置)が不可欠であるという点で意見が一致した。

資金計画における不確実性は、プロジェクト全体のスケジュールにどう影響を及ぼすかという、次なる重要な論点へと議論を導いた。

2.5. プロジェクトスケジュールとマイルストーン

市長がかつて示した「スケジュールは絶対に遅らせない」という強いコミットメントと、現在の議論の進捗との間に生じている乖離への懸念が、本プロジェクトの大きな焦点となっていることが議論を通じて明らかになった。

スケジュールに関する議論の要点は以下の通りである。

• 最終目標 2031年(令和13年)のスタジアムオープンを目指すという最終目標が再確認された。

• 逆算による主要マイルストーン 1万人規模のスタジアム建設には36ヶ月から40ヶ月程度の工期が見込まれるため、2031年オープンから逆算すると、工事着工は2028年(令和10年)7月頃、そして事業主体や設計方針などを決定するのは2026年(令和8年)9月頃までに行う必要があるという、具体的なタイムラインが共有された。

• 直近の目標 当面の最優先課題として、2024年内に秋田市が「新設か改修か」の基本方針を決定し、その方針を基に、県、市、クラブの三者による本格的な協議を開始することが次のステップであるとされた。

• 指摘された課題と懸念 年内の方針決定から2026年の事業主体決定までの間に「何を、どのように、いつまでに決めるか」という具体的なロードマップが欠如している点について、極めて厳しい指摘がなされた。「通常、直近1年の目標が最も具体的であるべきだが、本計画は年内の決定事項から一足飛びに2031年の目標に話が飛んでおり、その間のプロセスが不明確」という、計画の異常性が指摘された。この計画の空白期間が原因で、「2031年にできるかどうかもよくわからない」(2031年にできるかどうかもよくわからないと思ってしまう)、「計画が後ろに伸びるのではないか」(後ろに伸びるのではないか)といった、目標達成そのものを危ぶむ深刻な懸念が表明された。

協議を通じて明らかになったこれらの論点や課題は、プロジェクトを成功に導くために解決すべき懸案事項として整理された。

3. 主要な論点と懸案事項

本協議を通じて浮き彫りとなった主要課題は、単独で存在するのではなく、相互に固く結びついた「トリレンマ」の様相を呈している。建設手法の選択が事業主体を制約し、その事業主体が資金調達の選択肢を決定し、最終的にスケジュール全体の実現可能性を左右するという、不可分な関係にある。

1. 建設手法の最終決定 新設と改修のどちらを選択するのか、コスト、工期、Jリーグ基準への適合性、そして市民理解の観点から総合的な判断を下すことが、現時点での最大の懸案事項である。

2. 事業主体の確立 市、県、あるいは民間のいずれが事業の主体となるのかが未定であり、責任の所在が不明確なままでは、資金調達や設計といった具体的な計画へ移行できない。

3. 現実的な資金計画とスケジュールの策定 市の費用負担上限額が不明確であること、また、年内の方針決定以降のマイルストーンが具体化されていないことから、2031年完成という目標の実現性そのものに疑問が呈されている。

4. 決定事項と今後のアクション

本協議では、今後のプロジェクト推進に向けた具体的な決定事項と、それを受けて取るべき行動計画について合意が形成された。

• 決定事項 秋田市は、2024年内にスタジアム整備の基本方針として「新設」または「改修」のいずれかを選択し、その決定を公式に発表する。

• 今後のアクション 上記の方針決定後、その内容を前提として、秋田県、秋田市、および株式会社ブラウブリッツ秋田の三者間で、事業主体や費用負担に関する具体的な協議を速やかに開始する。

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